1987 Fiscal Year Annual Research Report
TROGER塩基骨格を不斉識別素子とした大環状化合物および重合体の合成と応用
Project/Area Number |
62216016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲津 孝彦 九州大学, 理学部, 教授 (60037207)
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Keywords | TROGER塩基 / 不斉識別素子 / 大環状化合物 / ホストーゲスト化学 / 光学分割 |
Research Abstract |
従来の方法によるエナンチオマーの分割とは異にして, 分子内に適当な空孔を有しエナンチオマーの一方と優先的に包接化合物をつくる様な大環状化合物の合成を目指し, その様なキラルなホストとしての大環状化合物の不斉認識素子としてTROGER塩基骨格を分子内構成単位とする化合物の合成を試みた. 大環状化合物の分子内空孔の大きさを自由に変えられる様に鎖長の異なるジアミノジフェニルアルカンから出発し, 塩酸存在下ホルマリンとのone-pot反応で合成した. 特に鎖長n=2の時には高度稀釈條件を全く用いないにもかかわらず高収率で目的物を得た. n=2の〔2.2〕環状TROGER塩基の場合においてメソ体とラセミ体の分離は分別再結晶あるいは高速液体クロマトにより行うことができた. さらにD-(+)-ラクトースカラムによるPRELOGらの方法により, 不完全ではあるがラセミ体の分割を行うことができた. 空孔の大きさを拡げ, 更にホスト分子の溶解性を増すために, 〔n.n〕環状TROGER塩基のメチレン鎖部分を種々の鎖長のポリエーテル鎖にした環状TROGER塩基の合成も試みた. メチレン鎖がテトラー, ヘプターおよびデカメチレン鎖に相当するものでは〔4.4〕-, 〔7.7〕-および〔10.10〕環状TROGER塩基が得られているが, デカメチレン, トリデカメチレン鎖に相当するものでは単量体の〔10〕-および〔13〕環状TROGER塩基が得られており, 稀釈條件を全く用いない環化としては高収率で得られている. なお〔7.7〕環状TROGER塩基においてはCH_2Cl_2との1:1付加体が得られている.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Mitsunori Tanaka: Chem.Lett.1673-1674 (1987)
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[Publications] Hiroyuki Takemura: Tetrahedron Lett.
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[Publications] Hiroyuki Takemura: Tetrahedron Lett.
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[Publications] Teruo Shinmyozu: Tetrahedron Lett.