1987 Fiscal Year Annual Research Report
増殖にホルボルエステルを要求する色素細胞の刺激応答系の解析
Project/Area Number |
62218001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊庭 英夫 東大, 理学部, 助教授 (60111449)
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Keywords | 増殖制御 / TPA / 色素細胞 / c-fos遺伝子 / ニワトリ初代培養細胞 / トレロウイルスベクター |
Research Abstract |
前年度までの研究から本研究の材料系であるTPA存在下でのみ増殖可能なニワトリ色素細胞においてTPAは, その受容体タンパク質であるプロティンキナーゼCを介してc-fos遺伝子の機能を促し, 細胞の長期応答反応を引きおこしている可能性が高いと考えられる. そこで本年度はニワトリc-fos遺伝子に関する基本的な情報と材料系の獲得に勤め, 以下の成果をあげた. 1.ニワトリc-fos遺伝子のクローニング及びその塩基配列の分析から, マウスやヒトのc-fosの場合と同様4つのエクソンからなるc-fos遺伝子構造を明らかにした. ニワトリc-fos遺伝子産物の一次構造はマウス, ヒトのそれと相同性が高いが, 特にこの遺伝子産物の中央部にはエクソン3を中心とした約110アミノ酸からなる非常に良く保存された領域がある. この領域は酵母のGCN4, v-jun, c-jun遺伝子とも25〜30%の相同性を有することから, c-jun遺伝子産物(転写制御因子AP-1と考えられる)と同様, 転写制御に関与すると考えられる. 2.1.で述べた110アミノ酸からなる領域内に欠失や4アミノ酸の挿入等によりin vitroで変異を導入し, 前年度までに開発したレトロウイルスベクターに入れて解析した所, fos野生株が持つトランスフォーメーション活性, 神経網膜刺激活性を失っていた. 3.塩基配列から予想されるfos遺伝子産物の一部にあたるペプチドを合成し, その抗体を作製した. その結果CEFにおいても, c-fos遺伝子産物(P62gc-fos)がTPA, 血清刺激により一過的に発現することが示された. また, c-fos関連遺伝子の産物と考えられるタンパク質が数種類, この抗体によって沈降されるので, そのタンパク質の分析を行っており, 将来はこの遺伝子のクローニングを試みたい.
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[Publications] H.Nakano: J.Antibiotics. 40. 706-708 (1987)
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[Publications] H.Iba: Oncogene Research. (1987)
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[Publications] K.T.Fujiwara: J.Virol. 61. 4012-4018 (1987)