1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62219001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉原 照彦 北海道大学, 農学部, 講師 (90002071)
|
Keywords | バレイショ / 塊茎形成物質 / 3-oxo-2-(5′-β-D-glucopyranosyloxy-Z′-cis-pentenyl)-cyclopentane-1-acetic acid |
Research Abstract |
短日条件下(7月下旬〜8月上旬)圃場で生育したバレイショ(ダンシャク)葉100kgを収穫し, 70%エタノール液に浸漬後常法によりn-ヘキサン, 酢酸エチル, 水の各可溶部に振り分けた. 活性は酢酸エチル可溶部と水可溶部に認められたので本年度は, まず水可溶部の活性物質の単離を行った. 精製を以下の操作で行った. 活性炭カラムクロマトグラフィー→Dowexlx4は11g得られ, 培地中750ppm濃度で塊茎を形成した. 次に高速液体クロマトグラフィーにより精製を進めた. μ+Bondapak C_<18>mgAminexHPX-87H→Resolve C_<18>mgNovapak C_<18>3回. 以上の操作で活性物質2.7mgを単離した(27μg/kg, 新鮮葉). 本物質は, 濃度0.1ppmで十分に塊茎を形成し, 0.01ppmでも活性を発現した. 濃度を高めると, 比例して活性も高くなった. 種々のスペクトルデータから, 水可溶部の活性物質の化学構造を3-oxo-2-(5′-3-D-glucopyranasyloxy-2′-cis-pentenyl)-cyclo-pentane-1-aletic acidと決定した. 本物質は文献未記載の新化合物である. 本研究で用いた生物検定法を使用し, 塊茎形成作物(キクイモ, チョロギ)と非塊茎形成作物(ビート, トウモロコシ, ナス, ダイズ, サツマイモ, トマト)の検定を行なった. 全作物葉の水可溶部と酢酸エチル可溶酸性区は共にバレイショ塊茎を形成した. この事は, 本物質あるいは類似物質が植物界に普遍的に存在し, 塊茎形成以外の生活環制御にも係っている可能性を示した.
|