1987 Fiscal Year Annual Research Report
イネ種子システインプロテイナーゼインヒビターの構造と植物生理学的機能の解析
Project/Area Number |
62219005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒井 綜一 東京大学, 農学部, 助教授 (20011934)
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Keywords | オリザシスタチン / 構造と機能 / 植物生理機能 / システインプロテイナーゼインヒビター |
Research Abstract |
イネ種子中に成熟型の貯蔵タンパク質が蓄積されるまでにはプロ型のタンパク質のプロセシングを経る. また, 貯蔵タンパク質は種子の発芽過程で迅速に分解される. これらには当然プロテイナーゼが関与する. 筆者らは, イネ発芽種子からグルテリンを効率よく分解するプロティナーゼを精製し, EC3, 4, 22に属するSH酵素であることを明らかにするとともに, これを特異的に阻害するタンパク質がやはりイネ種子中に存在することを見いだし, オリサシスタチンと命名した. 本年度は, イネ種子中でのプロテオリシスの制御因子と考えられるオリザシスタチンの構造・活性相関の解明を主要な研究課題とした. 東京大学田無農場から開花後2週間のイネ(日本晴)の穂を入手し, mRNAを抽出し, 逆転写によってcDNAライブラリーを作製した. オリザシスタチンの部分一次構造の解析に基づいて合成した2種類のオリゴヌクレオチドを用い, ハイブリダイズするcDNAクローンをこのライブラリーから得た. その全塩基配列の決定によって推定されるオリザシスタチンの一次構造は動物起源のシスタチン類と高度の相同性をもつのみならず, 共通配列QVVAGを保存していた. 次いで, cDNAを大腸菌で発現させる系を確立し, 5′および3′-deletion mutantsからN-およびC-truncated oryzacystatinsをfusion proteinsとして得た. それぞれのパパイン阻害活性を測定したところ, N端から38番目までのアミノ酸残基を欠くmutant OC-26-5′-39およびC端から35番目までのアミノ酸残基を欠くmutant OC-26-3′-67では活性が著しく低下しており, オリザシスタチンが十分に活性を発現するためにはQVVAGを含むある程度以上の長さのペプチド鎖が必要であると結論された.
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[Publications] K.Abe and S.Arai: Agroic.Biol.Chem.,. 49. 3349-3350 (1985)
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[Publications] K.Abe et al.: Agric.Biol.Chem.51. 1509-1514 (1987)
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[Publications] K.Abe et al.: Agric.Biol.Chem.51. 2763-2768 (1987)
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[Publications] K.Abe et al.: J.Biol.Chem.262. 16793-16797 (1987)
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[Publications] K.Abe et al.: J.Biol.Chem.(1988)