1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62220015
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 宣久 名古屋大学, 理学部, 教授 (10022526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯尾 隆義 名古屋大学, 理学部, 助教授 (10022716)
飯田 荘象 名古屋大学, 理学部, 助手 (80022664)
吉野 茂雄 名古屋大学, 理学部, 助手 (50191630)
|
Keywords | 拡散係数 / アルブミン / 荷電効果 / サルコメア / 回転ブラウン運動 |
Research Abstract |
本年度において, 本研究の目的である生体高分子の"ゆらぎ"と分子運動の特異性の解析に関して, 次のような研究成果を得ることが出来た. (1)準弾性光散乱によって測定された高純単一成分の蛋白質(特にアルブミン)のt→oにおける拡散係数の著しい荷電効果が, Imai→Mandel理論によって完全に説明出来ることが示され, これにより, 今後拡散係数の測定によって蛋白質のゆらぎや集団形成における静電相互作用の役割を定量的に分析し得ることを示した. (2)筋肉サルコメアおよびIZI(前者は筋肉蛋白質の集合体, アクチン, およびマイオシンフィラメントが更に束状に集った数μm長の束状粒子で, 後者はこれよりマイオシンフィラメントを除去したもの)の光学顕微鏡下における回転ブラウン運動の解析, ならびに準弾性光散乱による並進拡散係数の実測を行い, ATP不在下のサルコメア粒子にくらべ, IZIが, 1/30程度に極めて遅いブラウン運動した呈さないこと, ATP, Ca存在下ではサルコメアも1/5程度に遅い運動となることを発見した. 流体力学的考察の結果, 遅い分子運動は溶媒の透過性の増加によるものであること, 表面フィラメントの動的状態がこの透過性を決定するものであることを示した. (3)緩和機構を導入することによって, 2緩和機構を軸とする従来のSmoluchowski理論の拡張を行い, 高分子の集団形成に関して, 新しい理論式を導いた. (4)高分子のまわりの低分子イオンの拡散現象の非線型性についての理論的研究を行った. 非線型拡散方程式の厳密解から, 高分子荷電量と共に低分子イオンの拡散速度が極めて小さくなることが見出された.
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Fumiko Hirakawa: Biophysical Chemistry. 28. 253-263 (1987)
-
[Publications] Nobuhisa Imai: Journal of Colloid and Interface Science. 120. 296-297 (1987)
-
[Publications] Nobuhisa Imai: Reports on Progress in Polymer Physics in Japan. 30. 35-36 (1987)
-
[Publications] Satoshi Tsurumi: Reports on Progree in Polymer Physics in Japan. 30. 57-60 (1987)
-
[Publications] Nobuhisa Imai,Editor: Norio Ise: "Ordering and Organization in Ionic Solutions "Charge Fluctuation Effect on the Stabilization of Micro-order-phases of Charged Colloids"" World Scientific Publishing Co., (1988)