1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62220017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤坂 一之 京都大学, 理学部, 助教授 (50025368)
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Keywords | recAタンパク質の内部運動領域 / recAタンパク質のカルボキシル末端断片 / recAタンパク質とATP-γ-Sとの結合 / recAタンパク質と一重鎖DNAとの結合 / ^1HNMR / ^<31>PNMR |
Research Abstract |
1.recAタンパク質のNMR測定時の会合状態を調べるために, 超遠心沈降速度法および平衡法を行った. その結果, 100μMの濃度のrecAタンパク質に対して, 分子量200万程度に会合していると見積られた. この分子量では分子全体が剛体球として回転していると考えると, 信号の線巾はメチレン基にして1,000Hz程度とある. 実際にはこれより一桁以上の線巾の狭い信号が積分強度にして約1/3存在するが, これは独立した運動性の激しい領域が存在することを示唆する. 2.次にトリプシンによる限定分解により, 初めて,分子量10,800に対応するカルボキシル末端10.8k断片を単離する事に成功した. この試料の^1HNMRスペクトルは, (1)で述べたrecAタンパク質自身の巾狭い信号領域のスペクトルと酷似している. このことから, この断片はrecA分子中の独立した運動領域に相当するものと考えられる. さらに, 10.8k断片の1HNMRスペクトルには, 高磁場領域に化学シフトが移動した数個のメチル基や, 低磁場領域に移動したαプロトンが観察されるので, この断片はそれ自身で一定の高次構造をもつものであることがわかる. 3.^1 NMRと^<31>PNMRの測定により, ATP-γ-Sの結合する10.8k領域が単鎖DNAと直接相互作用しないことが判明した. この事実は10.8k領域が単鎖DNA結合に関して間接的に作用していることを示している. 以上, 今年度の研究によって, recAタンパク質の運動性に富む活性断片を初めて単離することに成功し, この活性断片について^1HNMRを用いた詳しい構造研究を行う糸口を得た.
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[Publications] 柴田 進: "現代化学・増刊11, 高分解能NMR-基礎と新しい展開, 第7章1節 蛋白質の動的構造. " 東京化学同人, 12 (1987)
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[Publications] 赤坂一之: "蛋白質;核酸, 酵素別冊32, 蛋白質のNMR. 第1部6 蛋白質のゆらぎとNMR. " 共立出版, 4 (1987)