1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62221024
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高井 義美 神戸大学, 医学部, 教授 (60093514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 孝之 神戸大学, 医学部, 助手 (10166671)
貝淵 弘三 神戸大学, 医学部, 助手 (00169377)
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Keywords | シナプス / Cキナーゼ / ホスホリパーゼC / イノシトールリン脂質 / 受容体 / GTP結合蛋白質 / C-rasp21 |
Research Abstract |
海馬におけるシナプス後電位の長期増強にCキナーゼが関与していることが報告されて以来, シナプスの可塑性における本酵素の重要性が注目されている. Cキナーゼは神経終末とシナプス後細胞の両部位に存在しており, ホスホリパーゼCによるイノシトールリン脂質の加水分解と共役して活性化される. 最近, 受容体によるホスホリパーゼCの制御にGTP結合蛋白質(G蛋白質)が関与していることが示唆されているが, このG蛋白質の実体は不明である. 本研究で, 私共は神経組織に新しい種類のG蛋白質を発見し, その精製と性状の解析を行った. 私共が今回見出したG蛋白質は従来から知られているGsやGo等の高分子量G蛋白質とは全く異なった種類の分子量約2万の低分子量G蛋白質である. この低分子量G蛋白質をウシ大脳のシナプス膜画分よりコール酸で可溶化し, 種々のカラムクロマトグラフィーを組み合わせて精製した. その結果, 少なくとも5種類の低分子量G蛋白質を分離することができた. これらの蛋白質の分子量は2.0-2.5万と推定され, いずれもGTPを特異的に結合し, GTPase活性を有していた. これらのG蛋白質の中で, 分子量2.1万の蛋白質はC-rasp21であった. したがって, ウシ大脳膜画分にはC-rasp21以外に数種類の低分子量G蛋白質が存在することが判明した. これらの低分子量G蛋白質の機能は不明であるが, rasp21をPC12細胞で発現させるか, あるいは導入すると本細胞が神経細胞様に分化し, さらにrasp21の抗体をPC12細胞に導入すると, NGFによる分化促進作用が阻害されることが報告されている. したがって, rasp21を含めた一群の低分子量G蛋白質はCキナーゼと共にシナプスからの神経伝達物質の放出や神経突起の形成等, シナプス機能発現にきわめて重要な役割を果たしていると考えられる.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kikuchi,A.: J.Biol.Chem.262. 6766-6770 (1987)
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[Publications] Kozawa,O.: Biochem.Biophys.Res.Commun.145. 218-227 (1987)
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[Publications] Tanimoto,T.: FEBS Lett.226. 291-296 (1988)
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[Publications] Kikuchi,A.: J.Biol.Chem.(1988)
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[Publications] Yamamoto,K.: J.Biol.Chem.(1988)