1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62221029
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
浜村 みつ子 自治医科大学, 医学部, 講師 (90118456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 助手 (90177254)
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Keywords | 情動 / ストレス / 視床下部 / 下垂体 / 発達 / ACTH / 痛み, 新奇刺激 |
Research Abstract |
離乳前の仔ラットを母ラットから毎日数分間離すと成熟した後に与えた新奇刺激に対する副腎皮質ホルモンの分泌反応が減弱する. この副腎皮質ホルモン分泌反応の低下を引き起す可能なメカニズムとして, 1)脳を含む視床下部・下垂体前葉が可塑的に変化したためにACTH分泌反応が減少している, 2)ACTHに対する副腎皮質の反応性が低下している, ことが考えられる. 初めの仮説をテストするために離乳前の仔ラットを毎日10分間, 母親および他の仔ラットから隔離し, 成熟した後に与えた新奇刺激に対するACTH分泌反応をRIA法を使って調べた. 成熟後に与えた新奇刺激に対して未処置群より低い血漿ACTHレベルを示した. 同腹の8匹の仔に同一の処置をした場合でも, 同腹の仔の半数を隔離した場合でも, 隔離操作群は未処置群に比べて有意に低い値を示した従って隔離操作が母ラットを介して間接的に仔ラットに働いたためではなく直接仔ラットに作用し成熟後における分泌反応を低下させたと考えられる. また幼若期に隔離する時間を10分/日にしても4時間/日にしても新奇刺激後のACTHレベルは未処置群より有意に低下した. 一方, 幼若期の侵害ストレスの成熟後におけるACTH分泌反応への効果を調べる目的で, 離乳前の仔ラットにフットショック(FS:50Hz, 0.2mA, 3分間/日)を与えた. このFS操作群は成熟後に与えたFS(1.6mA, 1分間)に対するACTH分泌反応が隔離操作群より減弱していた. 以上のデータは幼若期のストレス刺激(隔離操作, 侵害刺激)が成熟後に与えたストレス刺激(新奇刺激, 侵害刺激)に対するACTH分泌反応を減弱させることを示している. 従って, すくなくとも幼若期ストレス刺激が脳を含む視床下部・下垂体系に可塑的変化を引き起こすと結論される.
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[Publications] 浜村みつ子: 第65回日本生理学会大会予稿集. (1988)
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[Publications] M.Hamamura: Proceedings of the 8th Interational Congress of Endocrinology.(1988)
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[Publications] 浜村みつ子: "文部省特定研究 神経回路網の可塑性報告書(2) 「情動ストレス反応における可塑性の研究」" 文部省特定研究「神経回路網の可塑性・総括班, (1988)