心房性ナトリウム利尿ポリペプチド及び関連ペプチドの生合成及び分泌機作に関する研究

1987 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62222012
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 中尾 一和 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助手 (00172263)
• Keywords: ANP / α-hANP / γ-hANP / ANPmessengerRNA / モノクローナル抗体 / N-ペプチド

Research Abstract

心臓におけるANPの生合成と分泌機構について検討する目的で, ラットとヒトの心房及び心室のANPmessengerRNA(ANPmRNA)とANP濃度をNothernblotとRIAを用いて検討した.
ラットでもヒトでも, 心房組織のみならず心室にもANPmRNAとANPが検出され, 心室でもANPが生合成されることが証明された. 心房と心室のANP/ANPmRNAを計算すると心室が心房より10分の1以下の値を示し, 心室と心房のANP生合成, 分泌機構の異なる可能性が示唆された. 更に, 高血圧, 心不全における心室のANP遺伝子発現が著しく亢進していることを証明した. また, ヒトANP前駆体であるγ-hANPのN端構造, γ-hANP〔1-25〕に対するRIAを確立した. このRIAとα-ANPに対するRIAを用いてヒト血中におけるγ-hANP由来のペプチドの存在様式について検討し, ヒト血中には分子量3Kのα-hANPとγ-hANPの10KN端フラグメント(N-ペプチド)が存在すること, 心臓より等モル放出されることを明らかにした. N-ペプチドの作用については全く不明であり, 新しい血管作動性物質である可能性も期待できる. N-ペプチドの生理的意義の研究を更に促進させる目的でN-ペプチドに対するモノクローナル抗体の開発もすすめている.
また, α-hANPの異なる部位を認識するモノクローナル抗体の開発に成功した. この抗体はRIA, 免疫組織化学にも有効であり, 中和実験も可能である. 更に, これらのモノクローナル抗体を用いたANP超高度測定法の開発も試みている.

Research Products

• [Publications] Kazuwa Nakao: Can.J.Physiol.Pharmacol.65. 1756-1761 (1987)
• [Publications] Hiroshi Itoh: Neurosci.Lett.74. 102-106 (1987)
• [Publications] Hiroshi Itoh: Jpn.Circ.J.51. 1208-1215 (1987)
• [Publications] Kiyoshi Kikuchi: Acta Endocrinologica. 115. 211-217 (1987)
• [Publications] Hiroshi Itoh: Biochim.Biophys.Res.Commun.143. 560-569 (1987)
• [Publications] Kazuwa Nakao: Klinische Wochenschrift. 65. 103-108 (1987)
• [Publications] Hiroshi Itoh: Endocrinology. 120. 2186-2188 (1987)
• [Publications] Yoshihiko Saito: Circulation. 76. 115-124 (1987)
• [Publications] Narito Morii: Biochem.Biophys.Res.Commun.145. 196-203 (1987)
• [Publications] Yoshihiko Saito: Acta Endocrinologica. 116. 59-65 (1987)
• [Publications] Kiyoshi Kikuchi: J.Pediatrics. 111. 335-324 (1987)
• [Publications] Yoshihiko Saito: Biochem.Biophys.Res.Commun.148. 211-217 (1987)
• [Publications] Hiroshi Arai: Biochem.Biophys.Res.Commun.148. 239-245 (1987)