1987 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト皮膚微小血管内皮細胞の培養による血管新生機構の研究
Project/Area Number |
62222024
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
辻 卓夫 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (40047105)
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Keywords | コラーゲン被覆 / 血管新生機構 / 人臍帯静脈 / 位相差顕微鏡 / 透過型電子顕微鏡 / 索状構造物 / 管腔形成 |
Research Abstract |
これまで培養ヒト皮膚微小血管内皮細胞を用いて, これにコラーゲンを被覆することによって起こってくる血管新生過程を経時的に観察し興味ある所見を報告してきた. 今回はコラーゲン被膜によるこのような変化が微小血管に特有なものかどうかを知る目的で人臍帯静脈由来の内皮細胞についても検討し, またコラーゲン被覆が血管新生を起こすのに特異的であるかどうかを調べた. 〔材料と方法〕 ろ紙を直径1cmの円形に切り, この中央に直径5mmの穴を作成. この穴にコラーゲン膜を張り, confluent状態の培養人臍帯内皮細胞上に被覆した. そしてコラーゲン被覆後の内皮細胞の経時的変化を位相差顕微鏡および透過型電子顕微鏡にて観察した. 〔結果と考察〕 今回の実験から,コラーゲン被覆により, 微小血管のみではなく大血管由来の内皮細胞においても血管新生が生じること, また血管新生に至る経時的変化も, 微小血管の場合と同様であることが判明した. すなわち被覆12時間で内皮細胞の集合と索状構造の形成, 同24時間で索状構造内に管腔形成が起こり, 同48時間までに完成することおよび同96時間で崩壊することなどである. また透過型電顕にて管腔形成はまず内皮細胞の細胞質の一部に壊死が生じ, これが隔離され, この壊死部が腔を形成し, それぞれ隣の細胞の腔と結合することにより細長い管腔が出来る. なおコラーゲン膜に被覆されなかった部位では内皮細胞に何ら変化を見ず, 被覆された部位との境界が明瞭に観察された. このことはコラーゲンゲルがこの血管形成に特異的に作用していることを証明するものと考えられる.
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[Publications] 辻 卓夫: 病態生理. 6. 808-810 (1987)
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[Publications] Tsuji T,Sawabe M.: Journal of Cutaneous Pathologg. 14. 106-113 (1987)
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[Publications] Tsuji T: Journal of Cutaneous Pathology. 14. 158-164 (1987)
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[Publications] Tsuji T: Gerontology. 33. 64-71 (1987)
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[Publications] Tsuji T.Imajo Y at al.: Archi-ves of Dermatology. 123. 841-845 (1987)
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[Publications] Tsuji T: British Journal of Dermatology. (1988)