1988 Fiscal Year Annual Research Report
新しい動的実験技術による筋収縮および細胞運動機構の分子レベルでの解明
Project/Area Number |
62300017
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
杉 晴夫 帝京大学, 医学部, 教授 (20082076)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太和田 勝久 九州大学, 理学部, 助教授 (70164481)
八田 一郎 名古屋大学, 工学部, 教授 (70016070)
富田 忠雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (50078763)
清水 博 東京大学, 薬学部, 教授 (30037577)
柳田 敏雄 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (30089883)
|
Keywords | 筋収縮 / クロスブリッジ / 筋フィラメント / 収縮模型 / 細胞運動 / 張力発生 / X線回析 / 化学修飾 |
Research Abstract |
昭和63年度に本研究班によって得られた主な知見、成果は、以下のように要約される。 1.高速X線回析法による筋収縮の研究〜雨宮、岩本、杉らは、カエル骨格筋収縮時の伸長による張力増強機構をX線回析により研究し、この張力増強が筋フィラメント六角格子のみだれによる、筋フィラメント間の静電気的反撥力の増大によることを明らかにした。また、松原らは、カエル骨格筋線維内での筋小胞体からのCa^<2+>放出と赤道X線反射強度変化の間の関係を明らかにした。 2.電子顕微鏡による筋フィラメント構造変化の研究〜鈴木、杉らは、急速凍結-フリーズフラクチャー法により、収縮時および硬直時カエル筋線維内のクロスブリッジの角度分布を調べ、大多数のクロスブリッジが約90°の角度でアクチンフィラメントに結合すること、またこの角度は伸長によって有意に変化しないことを明らかにした。 3.収縮模型による筋収縮機構の研究〜柳田らは微細マニピュレーションにより、約10個のミオシン頭部が単一のアクチンワイラメントにたいして発生する張力を測定した。また、張力発生時に力のゆらぎが殆どないことを示した。茶田、大岩、杉らは、やはり微細マニピュレーションにより、シヤジクモ細胞中のアクチン線維束にそってのミオシンの滑り速度と滑り力の同時精密測定に成功した。また、新免らは花粉管中の細胞器官が、アクチン線維にそってミオシンの約10倍の速度で滑走するという興味ある現象を発見した。 4.杉、土屋らは、カエル骨格筋の収縮時の伸長による張力増強が、筋の"かたさ"の増大を伴わず、逆に減少うることを発見した。この結果は、1の項で述べたX線回析の結果と合わせて、張力増強が筋フィラメント格子のみだれによることを示している。
|
-
[Publications] Haruo Sugi: Journal of Physiology(London). 407. 215-229 (1988)
-
[Publications] Yoshiyuki Amemiya: Journal of Physiology(London). 407. 231-241 (1988)
-
[Publications] Akiyoshi Kishino: Nature(London). 334. 74-76 (1988)
-
[Publications] Ichiro Hatta: Journal of Physiology(London). 403. 193-209 (1988)
-
[Publications] Shinsuke Nakayama: Journal of Physiology(London). 402. 565-578 (1988)
-
[Publications] Tadasu Kohno: Journal of Cell Biology. 106. 1539-1543 (1988)
-
[Publications] Haruo Sugi.;Gerald H.;Pollack,;Editors: "Molecular mechanism of Muscle Contraction(Proceeding of an International Symposium orgaized by Haruo Sugi)" Plenum Publishing Corporation, 742 (1988)