1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62301001
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
木田 元 中央大学, 文学部, 教授 (90055054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮武 昭 中央大学, 文学部, 助教授 (70004091)
丸山 圭三郎 中央大学, 文学部, 教授 (00055120)
福田 宏年 中央大学, 文学部, 教授 (30055040)
堀越 孝一 学習院大学, 文学部, 教授 (00080383)
阪口 修平 中央大学, 文学部, 教授 (50096111)
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Keywords | ヨーロッパ / 時間意識 / 多様性 / ニュートン / 近代自然科学 / 均質性 |
Research Abstract |
2年目を迎えた本年度は、敦賀と仙台において研究集会を開催した。敦賀集会においては前年度の研究成果を受けて「時間意識の多様性」をさらに検討し、仙台集会においてはヨーロッパ以外の地域との比較文化史的研究へ考察の範囲を広げていく、というのが当初の目論見であった。しかしながら、われわれが専門としているヨーロッパの時代と地域における時間意識ですら、その多様性が途方もないものであることが敦賀集会において確認され、仙台集会においてもその課題の追究に大半の時間が費やされることになった。以下は、本年度の研究実績の概要である。 1.滝浦報告は、時間意識を時間「体験」から解明しようとする試みであった。時間意識が人間的「体験」から出発するのであってみれば、これは重要な基礎的研究と言えよう。これし関連した基礎的研究が丸山報告であった。ソシュールの言語理論の通時態と共時態の対概念を手掛かりにして、文化の根底に潜む時間的構造に注意を促したものである。 2.近代哲学の体系的完成と言われるヘーゲルに即して時間を論じたのが榎木報告であった。ヘーゲルの自然哲学を手掛かりにして時間と弁証法の関係を論じたものであった。同じ弁証法と言ってもヘーゲルとは趣を異にするフランクフルト学派を素材にしたものが、徳永報告であった。フランクフルト学派のうちでも異彩を放っているベンヤミンの「歴史哲学」における時間意識を詳細に分析したものである。 3.歴史学においては、堀越報告がヴイヨンを手掛かりにして、中世末期のフランス知識人の時間・空間意識を分析した。『遺言詩』に使われている時間的・空間的名辞による分析は刺激的であった。同じフランスでも近代盛期の「国王」の時間意識を解明したのが志垣報告であった。以上が概要であるが、ヨーロッパ以外の地域との比較文化史的研究は今後の課題とせざるをえなかった。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 滝浦静雄: 桜の聖母短大人間学研究所報. 1. 1-19 (1988)
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[Publications] 志垣嘉夫: インペリアル. 73. 42-44 (1988)
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[Publications] 徳永恂: 大阪大学人間科学部紀要. (1989)
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[Publications] 阪口,修平: "プロイセン絶対王政の研究" 中央大学出版部, 309 (1988)
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[Publications] 滝浦静雄: "メタファーの現象学" 世界書院, 280 (1988)
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[Publications] 徳永恂: "フランクフルト学派再考" 弘文堂, (1989)
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[Publications] 堀越孝一: "青春のヨーロッパ中世" 三省堂, 237 (1987)
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[Publications] 堀越孝一: "フランス入門" 三省堂, 248 (1988)
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[Publications] 丸山圭三郎: "言葉と無意識" 講談社, 232 (1987)
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[Publications] 丸山圭三郎: "生命と過剰" 河出書房新社, 278 (1987)