1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62301006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
荒木 美智雄 筑波大学, 哲学・思想学系, 教授 (60103032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 弘 愛知学院大学, 助教授 (40201842)
島園 進 東京大学, 文学部, 助教授 (20143620)
小野 泰博 図書館情報大学, 教授 (40041800)
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Keywords | 民衆宗教 / 民族宗教 / 新宗教 / 民間信仰・教祖 / 社会変動 / 危機 / 体験 |
Research Abstract |
本年度はこれまでの基礎的研究(既存の主要研究書等の方法論的な検討)をふまえた上で、現代の新宗教運動の具体的事例に触れることによって、民衆宗教のあり方を研究者それぞれの立場(宗教学、宗教史学、宗教心理学、宗教社会学など)から多角的に理解することに努めた。すなわち本研究にとって最も重要な点は、対称となる運動の担い手への肉薄であるが、殊に教祖の独自な体験とそれをめぐる教団形成のプロセスに注目して、昨年に引き続いて北九州地方の諸教団ならびに生駒地方のいわゆる「小さな神々」、そして現代日本の代表的な新宗教教団である世界救世教を選定し、参与調査・面接調査をおこなった。こうした新宗教教団の調査における教団リーダーの具体的な講和・指導、ならびに信者の生の宗教実験・談話の収録は、民衆宗教の新たな理解を目指す本研究にとって資する処大であった。またかかる新宗教運動の基層にあるとも言える古い宗教・信仰との緊密な関係を理解するために、新宗教研究と併せて秩父、生駒、日光、熊野、高千穂等の民間信仰、伝承および電灯的宗教の調査・研究にも力を傾注した。以上のような調査を通して収集された資料(写真、テープ等を含む)や文献は、この分野に精通した大学院生等によって整理・分類され、共同研究に有用なものとなりつつある。更にはこうした調査をもとに『民衆宗教史研究会』においては共同研究・討議を重ね、各分担者独自のアプローチの有効性や意義について方法論的な検討をおこなった。今後は新宗教運動の具体的事例に関する調査・研究を続けると共に、資料・分権の体系的かつ有機的な整理に努め、それらをたたき台として従来以上に研究会における共同研究・討議を重ねていくことによって、論集発刊に向けて具体的な行動を起こす計画である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 荒木美智雄: 仏教. 4. 168-175 (1988)
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[Publications] 荒木美智雄: 仏教. 別冊1. 36-46 (1988)
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[Publications] 島薗進(村上重良 編): "大系 仏教と日本人 10巻 民衆と社会" 春秋社, (1988)
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[Publications] 島薗進(桜井徳太郎 編): "日本宗教の正統と異端" 弘文堂, (1988)