1988 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀ヨーロッパ音楽におけるバロックから古典派への様式転換の美学的考察
Project/Area Number |
62301008
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Research Institution | Ochanomizu University, Tokyo |
Principal Investigator |
大宮 誠 お茶の水女子大学, 文教育学部 (90017129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 譲二 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 専任講師
原田 宏司 広島大学, 学校教育学部, 教授 (70033636)
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Keywords | 音楽作品 / 様式と変化 / 交響曲 / ディヴェルティメント / 鍵盤ソナタ / 古典派 / ソナタ形式 / 様式分析 |
Research Abstract |
1.様式分析の方法論 (大宮誠) 音楽作品の様式転換の美学的考察には、作品の様式に関する総合的な分析方法が必要である。大宮は、アメリカ、ニューヨーク大学のヤン・ラルー教授と共同で開発した総合的様式分析の方法と範例を、昭和63年に、2巻の著書として出版し、研究の美学的基礎を築いた。 2.ハイドンの様式発展 (大宮誠) ヨーゼフ・ハイドンの初期管弦楽様式は、ディヴェルティメントに典型的に現れている。(論文2篇、既発表) ハイドンは、その後の25年間ディヴェルティメント/を作曲したかったが、1785ー90年の間に一連のリラ・オルガニ・ザータのための曲を作曲し、成熟期の様式を示した。リラ楽曲の成立事情/学科研究、および様式研究のすべてを包括した研究した研究書は世界で初めてのものである。 3.スカルラッティ (原田宏司 ) 555曲にのぼるスカルラッティの鍵盤ソナタのうち、昨年度の資料研究によって、作曲年代を概括することが可能な "Essecizi" 曲楽30曲について様式研究をおこない、他の作曲年不明の雄大なソナタの研究のための様式的な尺度を確立した。様式分析の方法についは先行研究との比較検討の末、ラルー/大宮の 「総合的様式分析」 の方法を採用した。 4.サンマルティーニ (河村譲二) サンマルティーニの交響曲は、ソナタ形式開拓の歴史であり、すでに展開部の問題については研究論文を発表した。今回は、呈示部、展開部と比較しつつ、サンマルティーニの再現部の特徴について研究した。その結果、サンマルティーニの交響曲に現れているソナタ形式が、バロックから古典派へと移行した様式の展開の過程を示していることが判明した。分析の方法は、ラルー/大宮の総合的様式分析の概念に基づく。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 原田宏司: 広島大学学校教育学部紀要. 1989.
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[Publications] 河村譲二: 武蔵野音楽大学紀要. 1989.
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[Publications] ヤン・ラルー, 大宮眞琴: スタイル・アナリシス 総合的様式分析方法と範例2巻. 1988. (( )1-500( )1-20)
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[Publications] 大宮眞琴: ハイドンのリラ楽曲研究. 1989. (1-500)