1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62301009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新田 博衛 京都大学, 教養部, 教授 (80026749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山名 伸生 京都精華大学, 美術学部, 講師 (90191353)
岸 文和 近畿大学, 教養部, 講師 (30177810)
北村 清彦 島根大学, 法文学部, 助教授 (70177864)
加藤 哲弘 大阪学院短期大学, 助教授 (60152724)
篠原 資明 大阪芸術大学, 芸術学部, 助教授 (60135499)
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Keywords | 画を読む / ストーリーと語り口 / 神に象った人間 / 精神の表現としての相貌 / 身体(物質)の変容 / メディアの透明性 |
Research Abstract |
本年度は2年目で、研究をまとめる年度であるので、前年度の成果をさらに発展させると共に、なんらかの結論を得ることにつとめた。 (1)前年度の研究成果を東洋の「説話画」に適用し、その射程を計る試みを行なった。西欧の宗教画には聖書というテキストがあるが、仏教説話画には対応するテキストの無いものも多い。この点で、西欧の図像学を、無反省に、仏教絵画に適用することは危険である、との結論が得られた。 (2)映画や小説のような物語藝術についても、とくに(a)時間との関連、(b)言葉から映像への転換の過程の2点に焦点を絞って考察が行われた。 (3)西欧キリスト教絵画の「栄光のキリスト」という主題を中心に(1)との異同が探られ、さらに (4)中国の「胡貌梵相」と称される人物の相貌描写についても、身体性の記号化としての藝術という観点と、言語と絵画という観点との2面から、今までの研究成果の練り直しが試みられた。 (5)全体としての研究成果を再吟味するために、「身体」という物質の特殊な変容体としての「藝術作品」という観点から、研究主題の根本的な掘り下げを行なった。身体を具えた人間存在が、なぜ、藝術作品という身体の変容体を作らねばならないか、が考察の対象となった。 (6)現代の記号化された社会における代表的メディアとして、テレビジョンを採り上げ、これまでの研究成果が、現代および近未来の藝術状況にたいしてどの程度まで適用可能か、を探った。 昨年度及び本年度の研究成果は、まとめて、報告書として公刊する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] NITTA,Hiroe.: Aesthetics,The Japanese Society for Aesthetics. No.3. 1-22 (1988)
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[Publications] 中村興二: 奈良女子大学文学部研究年報. 31号. 53-70 (1988)
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[Publications] 五十嵐節子: 「西洋美術史への視座」. 46-80 (1988)
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[Publications] 岸文和: 近畿大学教養部研究紀要. 第20巻1号. 1-24 (1988)
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[Publications] 岡田温司: 美学. 153号. 35-49 (1988)
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[Publications] 中村俊春: 美術史. 124号. 109-121 (1988)
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[Publications] 篠原資明 編者: "芸術の線分たち" 昭和堂, 321 (1988)
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[Publications] 新田博衛 編者: "西洋美術史への視座" 勁草書房, 258 (1988)