1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62301011
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Research Institution | Senzoku Gakuen Uozu Junior College |
Principal Investigator |
辰澤 速夫 洗足学園魚津短期大学, 助教授 (40179726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大隅 暁子 ガラス工芸研究会
土屋 良雄 サントリー美術館, 主席学芸員
棚橋 淳二 松蔭女子学院大学, 教授 (20082498)
小田 幸子 セイコー資料館, 主任研究員 (50000120)
山崎 一雄 名古屋大学, 名誉教授 (70101160)
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Keywords | ガラス工芸 / 薩摩切子 / 復元 |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年であるので、2回目の融解を含め、再加熱、切子、研磨の実験と、当初の計画の総てを消化した。 再加熱実験-62年度に行った第1回融解実験で得た銅赤ガラスの発色が不充分であったので、再加熱による発色促進実験を8段階の条件で試みた。結果は、温度480℃、保持時間4〜5時間の場合に充分な発色の銅赤ガラスが得られた。 融解実験-前回の実験で使用した二酸化珪素の純度が高すぎ、透きガラス部分のの透明度が高くなりすぎて美術的研究に適さぬため、原料に少量の酸化鉄を加え融解し良好な結果を得た。更に再加熱実験で得た結果に基づいた融解、成形後の除冷過程は、作業温度を430℃に保ち7時間後480℃に上昇させ3時間保持、その後漸次温度を下げ約9時間後常温にもどし、成形品は全部良好な発色を呈した。 切子、研磨実験-薩摩切子の切子、研磨は従来、車状工具の使用によるものと思われて来たが、切子面を詳細に観察した結果、棒状工具による可能性が強く、両技法を実際に試み、比較検討を行った。棒状工具は、当時の形状を再現するため軟鉄と朴を素材とし、手作業による製作を鍛治屋と木工所に依頼した。 棒状工具による作業は総て人力により行われ、習熟すれば切子面や研磨の痕跡等に、薩摩切子にごく近い効果を得ることができた。 車状工具は現代のものを使用したが、径、素材、回転スピードを変え試みた結果、「あおり」を入れて「荒ずり」から直接「木板かけ」を行えば、切子面に多少の凹面が表われてしまうが、研磨面に筋状の痕跡が残り、薩摩切子に近い効果を得ることもできた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 辰澤速夫: GLASS ガラス工芸研究会誌. 26. (1989)
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[Publications] 辰澤速夫: GLASS ガラス工芸研究会誌. 27. (1989)
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[Publications] 辰澤速夫: GLASS ガラス工芸研究会誌. 28. (1989)