1987 Fiscal Year Annual Research Report
土地利用型農業における担い手形成と営農組織の役割に関する研究
Project/Area Number |
62301086
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
梶井 功 東京農工大学, 農学部, 教授 (60041589)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 喜雄 信州大学, 経済学部, 教授 (70020526)
倉内 宗一 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70143633)
丸田 定子 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90015074)
今村 奈良臣 東京大学, 農学部, 教授 (60020525)
井上 完二 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014909)
|
Keywords | 借地型共同経営 / 営農組織 / 土地利用型農業 / 担い手 |
Research Abstract |
営農組織は, 地域の農家の状態と, 農家や関係機関の主体的な姿勢とによって多様な型をとっている. 今年度重点をおいたのは, 兼業深化, 農地流動化が進んだ地帯における, 借地型大規模経営の成立条件, 展開上の問題点の解明と, 専業農家層が厚い地帯における機械・施設の共同利用組織の存在意義の解明とであった. 借地型大規模経営は, 家族経営の範囲を超えて50ha以上の経営として各地に事例をみることができる. 大潟町ナショナルカントリーは, 3夫婦と青年1人7人, 55haの共同経営である. 個別家族経営とくらべて, 直接生産労働の労働時間は大巾な短縮がみられるが, 物的経費は高い. 加えて, 家族経営の場合, 埋もれていた簿記を始めとする間接労働費を明確にしなければ共同経営は成立しない. 更に, 組織化のコストともいうべき, 零細地主からの借地にともなう契約の締結, 条件の改訂等の間接労働も明確になってくる. これらを加えると規模の利益はやや割引きすべきであるが, なお規模の利益はあることを確認した. また, 借地が大量になってくるに従い, 土地改良償還金問題が浮上してくることを検出した. 借受側が土地改良の参加費として, 償還金を負担した場合, 土地への投資であるから借地経営の費用として税務上認められないという問題である. 有益費の取り扱いが具体的に明確されなくてはならないことも, 同時に明らかにされた. 一方, 専業農家が多数いる北海道北竜町では, 町と農協の方針によって基盤整備の後, 集落単位に機械・施設の利用組合を組織し, 転作対応としてメロン等経営の集約化へ誘導している. このような取り組みは離農をできるだけ抑制し, 一部の突出した担い手よりも中堅の厚い層の担い手の形成に寄与してきたことを確認した. いずれの場合も多少にかかわらず補助事業を土台に組まれた地域の営農システムは今後の情勢で再編も予想される.
|