1987 Fiscal Year Annual Research Report
急速凍結固定ー電子顕微鏡法による植物細胞と細胞小器官の超微細構築の研究
Project/Area Number |
62304007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 悟 東京大学, 教養学部, 教授 (70012367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 哲子 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (00135823)
黒岩 常祥 東京大学, 理学部, 教授 (50033353)
植田 勝己 奈良女子大学, 理学部, 教授 (00031641)
大隅 正子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60060646)
田中 健治 名古屋大学, 医学部, 教授 (70013315)
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Keywords | 植物細胞の超微細構築 / 免疫電子顕微鏡法 / 急速凍結固定法 / 分裂酵母 / ゴルジ体 / 葉緑体 / 微小管 / 細胞壁 |
Research Abstract |
研究分担者は目的に従って異なった方法で急速凍結固定した細胞を種々の方法で観察し, 細胞と細胞器官の微細構築と動態を明らかにし, いくつかの新知見を得た. 購入した急速凍装置(JFDーRFA)も用いられた(村上・長船) (1) 田中, 平野, 大隅は分裂酵母を用いた. 田中は細胞分裂に関与すると考えられる細胞内小胞とミトコンドリアの細胞分裂過程での挙動を, 平田は減数分裂過程における微小管の挙動を明らかにした. ミトコンドリアが細胞周期を通じて融合・分裂することと, 核内微小管が減数分裂中期〜後期でS型に, 後期 波型になることは急速凍結固定法で明らかにされた新知見である. 大隅はプロトプラストの細胞壁再生過程で, はじめ局所的に形成される壁物質が繊維構造を経て帯状になり細胞表面の全域に及ぶことを示した. (2) 急速凍結固定法が化学固定法より優れた方法であることが示された. 長船はこの方法がユーグレナのワックス, 貯留胞の内部構造および細胞器官相互の膜の連結の観察に, 野口は花粉管のゴルジ槽膜接着物質(構造)の観察に優れていることを明らかにし, それぞれ細胞周期と花粉管成長過程における微細構築と動態を追跡している. 植田は急速凍結固定法が免疫電子顕微鏡法でも優れていることを示し, セネデスムスの異なる膜構造(細胞壁,ゴルジ体膜,ゴルジ小胞,原形質膜)が異なるレクチンに反応することから, それぞれの膜系が異なる糖タンパク質を持つと結論した (3) 村上は凍結置換法とディープエッチングレプリカ法を用いて, アサクサノリチラユイド膜のE面に10nm膜内粒子と網状構造をはじめて観察した. 黒岩はイデユコゴメの葉緑体分裂を細胞骨格阻害剤(サイトカラシンB,クレマート)で阻害すると分裂環構造が消失することを見出した. しかし, 免疫電子顕微鏡法でアクチンの存在を分裂環構造に示すことはできなかった. これは今後の課題である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Murakami,S.: Recent Development in Electron Microscopy. (1988)
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[Publications] Osumi,M.: J.Electron Microscopy. 37. 17-30 (1988)
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[Publications] Osafune,T.: Cell Structure and Function. 12. 453-461 (1987)
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[Publications] Osafune,T.: Protoplasma. (1988)
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[Publications] Hayashi,Y.;Ueda,K: Plant and Cell Physiology. 28. 1357-1362 (1987)