日本林業の現段階と土地問題

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62304020
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 福島 康記 東京大学, 農学部, 教授 (70003746)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 菊間 満 山形大学, 農学部, 助教授 (40143086) ; 有永 明人 山形大学, 農学部, 教授 (90001461) ; 加藤 衛拡 筑波大学, 農林学系, 助手 (70177476) ; 赤羽 武 筑波大学, 農林学系, 教授 (60015659) ; 永田 信 東京大学, 農学部, 助教授 (20164436)
• Keywords: 林野土地問題 / 林政史 / 森林資源政策 / 林業経営 / 山村農業 / 山村社会 / 林野入会 / 大山林所有 / 山村社会組織 / 農民的農林業経営 / 地代

Research Abstract

1.研究目的 近年の林野を巡る土地問題の激化の中で、林野所有の様々な形態が、その利用-土地経営との関わりにおいてどのような問題を生じているのか、その解決のための政策と効果及び他土地利用との関係はどうか、などを、分析のための理論的視座を構築しながら明らかにしようとする。
2.研究成果 (1)研究会の開催 2回の研究会を開催し (1)問題分析のための資源政策・林政論の問題提起 (2)現段階の林業地帯構成論 (3) 治山治水技術からみた山地保全論 (4)フィリィピンの林業・林野政策 (5) 現段階の林地問題の分析 (6)北海道網走地域における林地転用の実態、の6つのテーマについての報告があり、共通の問題意識の構築とそれに沿って課題を整理し、問題の展開を図る作業が進められた。共通的な理論問題を整理するための認識として、土地問題を基底に置いた歴史的な林野資源政策の分析をするにあたっての時期区分の確認と各期期の問題点の提起と討議がなされた。特に近代的土地所有の確立過程と土地所有の歴史的形態=寄生地主的土地所有との関連および今日における林野土地問題の新局面=林地転用問題、森林資源政策の環境重視政策への転換についての分析がなされた。(2)各研究者は、個別のテーマにより各調査地において資料を収集し、幾つかの知見を得ている。林地移動について従来の林業的、農業的移動から資産的、レジャー的移動へ移っていること、またそれは不在村所有の増大へと結果していること、巨大所有における経営林のスクラップアンドビルドが進められていることなどである。(3)各研究者は、北海道、東北地方北上・奥羽山系、栃木県鹿沼地域・山梨県、奈良県吉野地方、熊本県ほか、調査地は各地にわたっており、また外国林業・林野政策をも含めて、資料収集が進められている。

Research Products

• [Publications] 有永明人: 山形大学紀要(農学). 10(2). 265-285 (1987)
• [Publications] 土谷俊幸: 農林水産省森林総合研究所研究員.
• [Publications] 菊間満: "(日本の農業明日への歩みNo.164)大山林経営の現段階と林野利用-東北の山村の事例" 農政調査委員会, 111 (1987)