1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62304023
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 周久 東京大学, 農学部, 教授 (30011828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西元 諄一 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (30041693)
志水 寛 京都大学, 農学部, 教授 (50036696)
木村 茂 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (10017056)
新井 健一 北海道大学, 水産学部, 教授 (20001597)
渡辺 終五 東京大学, 農学部, 助手 (40111489)
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Keywords | ミオシン / ミオシン軽領 / ミオシン・サブフラグメント1 / トロポニン / トロポミオシン / パラミオシン / アルドラーゼ / カルパイン / コラーゲン / ゲル形成能 / グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素 / 魚肉 |
Research Abstract |
魚介類の筋肉はわが国においては主要なタンパク質源である。従って魚介類の筋肉タンパク質に関する研究は常に水産学における主要なテーマの1つで、過去にも多くの知見が得られ、魚介肉の利用加工に大きな寄与をした。本研究は近年進展の著しいタンパク質化学や分析技法に基づき、魚介類の筋肉タンパク質の性状を明確にして比較生化学に寄与する一方、応用面にも有用な指針を与えることを目的としたものである。 1.数種魚類の異なるアルカリ軽鎖AlおよびA2を結合したミチシン・サブフラグメント(S1)の性状を比較したところ、S1(A2)のCaおよびEDTA-ATPase活性はS1(A1)より高かった。また魚類ミオシンのフィラメント化には高濃度(>5mM)のMgCl_2が必須であることが明らかにされた。 2.タイショウエビの筋肉と角皮下膜に存在するコラーゲンは、3本の同一α鎖からなる(α1)_3ホモトリマーを主成分とすることが立証された。 3.アカザラガイS1はキモトリプシン消化で分子量50K、27K、19Kの主要断片を生じた。ホタテガイ・トロポニン分子は52K、40K、20K成分からなることが示された。さらにハマグリ・パラミオシンのリン酸化能は高く、上記の結果はいずれも二枚貝筋肉タンパク質に特異的であった。 4.魚類カルパインは変性ミオシンに働き150K成分を生成するなど、基質タンパク質の高次構造主導型の分解を行うものと結論された。 5.魚肉中のアルドラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素は水抽出しにくいことが明らかにされたが、魚肉ゲル形成能に及ぼす影響についてはさらに詳細な検討が必要と考えられた。関連して魚肉ゲル形成の主体はミオシンが担うこと、無脊椎動物ではパラミオシンもゲル形成能を持つが、トロポミオシンにはこの効果がないこと、などが明らかにされた。またサメ類ミオシンの加熱ゲルは破断強度が弱く、坐り難いなど、ミオシンの立体構造が硬骨魚のものとは異なることが示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 落合芳博: Comparative Biochemistry and Physiology. 90B. 347-353 (1988)
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[Publications] 松浦基: Comparative Biochemistry and Physiology. 90B. 803-808 (1988)
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[Publications] 尾島孝男: Journal of Biochemistry. 104. 207-210 (1988)
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[Publications] 中川孝之: 日本水産学会誌. 55. 165-171 (1989)
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[Publications] 佐野猛: Journal of Food Science.