1988 Fiscal Year Annual Research Report
メディエーター産生細胞膜における薬物応答と情報伝達機構の解析
Project/Area Number |
62304052
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
名取 俊二 東京大学, 薬学部, 教授 (50012662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二井 将光 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50012646)
石橋 貞彦 広島大学, 医学部総合薬学, 教授 (90012616)
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
赤松 穣 国立予防衛生研究所, 化学部, 部長 (00072900)
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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Keywords | メディエーター / リセプター / レクチー / PAF / プロスタブランジン / 肥満細胞 / LPS / リピドA / ATPase / 胃酸分泌細胞 / センチニクバエ / スーパーオキサイド |
Research Abstract |
この研究は、薬物投与による刺激に対して、生体細胞が示すさまざまな応答を、薬物リセプターと情報伝達機構との関連において調べようとしたものである。63年度は、センチニクバエレクチンのリセプター(マウスマクロファージ上にある)の解析では、170Kのリセプターに対するモノクローナル抗体を作製し、リセプターの分子集合の形体を明らかにした。血小板活性化因子(PAF)のリセプターに関しては、リセプター本体の解明は困難であったものの、PAF刺激の応答に関与するホスホリパーゼA_2の研究が進んだ。特に、ヒト、ラット、ウサギの血小板のα顆粒に結合したホスホリパーゼA_2が、刺激に呼応して脱顆粒の際に細胞外に放出される機構が解明された。LPS(リポポリサッカライド)関係では、リピドAの誘導体がマクロファージに与える刺激の伝達様式の解析、またリピドAの構造と活性の相関についても、ある程度の情報が得られる見通しとなった。肥満細胞における、プロスタグランジン(PG)の応答に関しては、PGの生合成に必要なアラキドン酸の供給系に関して、リン脂質の分子種の交換反応を通して、アラキドン酸が特殊な分子種に濃縮される経路が存在することが明らかになった。これは、今後さらに解析を必要とする問題である。また、多形核白血球における活性酸素の産生系の解析では、多様な刺激に対して、終局的には活性酸素の産生で終るこのシステムの特殊性、すなわち、何故多様な刺激が共通の引き金を引きうるのか、という点を中心に研究が進んだ。その結果、刺激のいかんを問わず、46Kの蛋白のリン酸化がおきるという新しい事実が見出された。この蛋白の解析は今後の課題である。胃酸分泌細胞に関しては、新しく、H^+/K^+ATPaseの遺伝子及びCDNAの解析が行なわれた。その結果、497番目のリジンが重要で、このリジンにピリドキソール5リン酸が結合すると、活性は完全に失われることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Ohkuma.: J.Biochem. 103. 402-407 (1988)
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[Publications] T.Ohtsuka.: Arch.Biochem.Biophys.260. 226-231 (1988)
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[Publications] M.Hayakawa.: J.Biochem.104. 767-772 (1988)
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[Publications] M.Murakami.: J.Biochem.104. 884-888 (1988)
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[Publications] A.Ichikawa.: Int.J.Tiss.Reac.IX(4). 325-333 (1987)
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[Publications] M.Maeda.: J.Biol.Chem.263. 3652-3656 (1988)