1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62308017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮崎 保 北海道大学, 医学部, 教授 (10075161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内野 治人 京都大学, 医学部, 教授 (40034615)
妹尾 左知丸 重井医学研究所, 所長 (60032835)
山久 史磨 東京大学, 医学部, 教授 (40048955)
刈米 重夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20025555)
漆崎 一朗 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20045298)
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Keywords | 血清鉄測定 / 鉄代謝異常 / 鉄吸収 / 鉄蛋白 / 過剰状態 / 鉄錯塩 / 細胞増殖 / MDS |
Research Abstract |
生体の鉄,鉄および鉄蛋白の代謝とその異常の病態生理,輸血などによる過剰鉄状態おける生体の障害,鉄錯体の発癌との関係,炎症性貧血と鉄代謝障害との関連などを解明するには共同研究によるのが有用である. その成績は,昭和63年10月14日(水)学士会館分館において発表と討議とがされたので概要を記す. (1)鉄に関して:血清鉄測定法には改良の余地あること,消化管からの鉄吸収は,粘膜細胞刷子縁Tfレセプターの関与が示唆された. 思春期女子の鉄欠乏にはヘム鉄(哺乳動物赤血球から)強化食品の投与が効果的であり. 一方白血病細胞の分化,増殖(in vitro)に鉄の影響することが明らかにされた. (2)貯蔵鉄:貯蔵鉄の減少が造赤血球能障害に関係すること. 鉄剤内服でも長期間となれば鉄過剰に進展し,ヘモクロマトーシスの確診には血清フェリチン700ng/ml以上,血清鉄飽和率75%以上にしても,肝生検,肝CT値の有用なことが明らかにされた. (3)組識鉄と鉄蛋白:ヘモジデリンからのラジカル産生能が細胞障害を惹起する可能性が示唆され,生体鉄蛋白への鉄の利用に,カコジル酸鉄コロイドの消化管からの吸収が効果的なことが明らかになった. (4)TfとTfレセプター:腫瘍細胞の種類によっては,Tfのとりこみが亢進しながらTfレセプターとは関係の少ないもののあること,赤芽球系コロニー形成能は,鉄欠乏で鉄の添加がそのgrowthとHb産生に働らくこと,血清Tfレセプターの測定は骨髓造血能の把握に有用なこと,骨髓赤芽球の成熟とTfレセプター数には相関のあることが明らかにされた. (5)フェリチンとMDS:RAでは赤血球フェリチンと,酸性フェリチンの増加がみられること,MDSの赤血球では,赤芽球段階でフェリチン,EPOレセプター,Tfレセプター測定の重要なこと,さらに環状鉄芽球がMDSから白血病へ移行する時にみられた. (6)サイトカイことの関係:ILー1が鉄代謝に障害を与え,このことが造血能障害に関与することが示唆された.
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Research Products
(1 results)