1990 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯アフリカにおける動植物利用に関する研究とデ-タ・ベ-スの作製
Project/Area Number |
62400002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 二郎 京都大学アフリカ地域研究センター, 教授 (30027495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 俊直 京都大学, 教養部, 教授 (70026813)
川那部 浩哉 京都大学, 理学部, 教授 (60025286)
太田 至 京都大学アフリカ地域研究センター, 助教授 (60191938)
荒木 茂 京都大学アフリカ地域研究センター, 助教授 (00158734)
高村 泰雄 京都大学アフリカ地域研究センター, 教授 (30026372)
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Keywords | アフリカ / 民族植物学 / 民族動物学 / 植物認知 / 植物利用 / 動物認知 / 動物利用 / デ-タベ-ス |
Research Abstract |
平成2年度には、これまでにデ-タベ-ス化してきた資料をもとにして、動植物利用についての民族間、地域間の比較に重点をおいて研究を進めた。とくに、熱帯多雨林で生活している狩猟採集民と焼畑農耕民の植物利用に関する資料を多く集積できたため、同じような自然環境のもとで、生業や民族が異なることによって、植物利用の方法にはどのような差異が出てくるのか、また、どのような共通性があるのかという問題を研究の中心的なテ-マとした。その結果、どの民族も野生植物について詳細な知識をもち、非常に多様な植物を食用や薬用、さまざまな道具など、多彩な方法で利用していることが明らかになった。狩猟採集民は90種近くの野生植物を食物として利用しているが、民間薬については、むしろ、狩猟採集民よりも焼畑農耕民のほうがより多くの植物を洗練された方法で利用している。また、物質文化のための素材という観点からみると、もっぱら簡素な生活を旨とする狩猟採集民のあいだでは、80%以上の道具類が野生植物を利用して制作されているが、その多くは、その場で即製され、一度限りの使用で使い捨てられるものである。物質文化にもちいられる植物の総種数は、むしろ焼畑農耕民の方が狩猟採集民よりも多くなっている。これらの成果は、近日中に出版を予定している。 今年度はまた、デ-タベ-スの入力を継続し、約2600件の資料を整理してデ-タベ-ス化した。デ-タの総件数は約9000件となっている。このデ-タベ-スは、京都大学大型計算機センタ-の協力を得て運用や出力方法の画定の作業を急ぎ、なるべく早い時期に全国公開して一般の利用に供する予定である。また、これまでにデ-タベ-ス化した有用植物の目録の出版もあわせて計画中である。このほか、これまでに収集した植物・動物標本の整理や、食用・薬用植物の化学成分の分析作業も継続しておこなった。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 市川 光雄: "Traditional Use of tropical rain forest by the Mbuti hunterーgatheres" Recent Advances in Primatology(東大出版会).
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[Publications] 大塚 柳太郎編,市川 光雄: "ザンビア・バングウェウルスワンプにおける漁〓活動" 資源への文化適応(福武書店).
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[Publications] 掛谷 誠編,市川 光雄: "森の民の生きる道" 生存の自然認識(福武書店).
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[Publications] 寺嶋 秀明: "Ethnobotanical survey of the Lega in the tropical rain forest of Eastern Zaire:Part 1(Mwenga)" African Study Monographs. 15,Suppl.Issue. 1 (1991)
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[Publications] 寺嶋 秀明: "Ethnobotanical survey of the Lega in the tropical rain forest of Eastern Zaire:part 2" African Study Monographs. Suppl.Issue.
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[Publications] 田中・掛谷編,寺嶋 秀明: "森と村と蜂蜜と" ヒトの自然誌(平凡社). 465-486 (1991)
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[Publications] 松井 健編,重田 眞義: "ヒトー植物関係論序章" 過程としてのドメスティケイション(どうぶつ社).
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[Publications] 福井 勝義編,重田 眞義: "品種の創出と多様性の維持をめぐるヒトー植物関係" 自然との共生(福武書店).
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[Publications] 田中・掛谷編,重田 眞義: "エチオピア西南部におけるエンセ-テの品種保存" ヒトの自然誌(平凡社). 213-232 (1991)
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[Publications] 田中・掛谷編,太田 至: "トゥルカナの家畜をめぐる病気観" ヒトの自然誌(平凡社). 295-322 (1991)
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[Publications] 福井 勝義編,太田 至: "ヤギ放牧群の内的統合と母子関係再考" 自然との共生(福武書店).
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[Publications] 荒木 茂: "アフリカ・サバンナ植生下における土壌と農業" 熱帯農集報. 67. 14-25 (1990)
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[Publications] 西田・伊沢・加納編,小山 直樹: "マダガスカルの原猿類社会" サルの文化誌(平凡社). 33-56 (1991)
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[Publications] 小山 直樹: "マダガスカル・ベレンティにおけるワオキツネザルの社会変動" アフリカ研究. 38. (1991)
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[Publications] 田中・掛谷編,田中 二郎: "変貌するアフリカと狩猟採集民" ヒトの自然誌(平凡社). 595-606 (1991)
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[Publications] AFRORA COMMITTEE(ed.): "Useful Plants in African Rain Forest" Center for African Area Studies Kyoto University,
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[Publications] 高村 泰雄(編): "アフリカ農業の問題点" 京大出版会,