1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62420012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩坂 泰信 名古屋大学, 空電研究所, 教授 (20022709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 内蔵進 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助手 (90191981)
武田 喬男 名古屋大学, 水圏科学研究所, 教授 (60022604)
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Keywords | 成層圏・対流圏 / 水蒸気 / リモ-トセンシング / エアロゾル / ラマン散乱 / ライダ- |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の観測に用いた光学ラマンフィルタ-の半値幅の更に狭い超狭域フィルタ-を使用し、水蒸気のラマン線及び窒素のラマン線の散乱光を検出することに努めた。この装置による観測と昨年度の観測の結果を比較することによって、比較的地表面に近い大気から散乱してくる蛍光などの影響を評価する資料を得た。また、きわめてエアロゾル濃度の高い空間からの水蒸気や窒素分子のラマン散乱光を観測し、ラマン散乱光がエアロゾル物質で吸収・散乱(ミ-散乱)される影響を検討した。 これまでに、二、三試みられたラマン散乱光の実験は、比較的単純な条件(例えば、清浄な大気状態)のもとで実施されてきており、上述のような環境でのテストが行なわれた例はない。本研究の結果は、今後、ラマン散乱光がエアロゾルの濃度の高い空間を伝達してくる際に受ける影響を分離するための、ハ-ドウェアやソフトウェアの開発が必要なことを示唆している。 本研究では、ミ-散乱を利用したエアロゾル濃度の高度分布をライダ-で独立に観測する方法を採用した。本方式は、装置面でやや複雑になるが、現段階では最も信頼の置ける方法と考えられる。しかし、観測のル-チン化や装置の軽減化を図るうえで、ソフトウェア面での工夫が必要であろう。 本年度は、さらに将来のグロ-バルな水蒸気循環やそれに伴うエアロゾル物質の生成効率などの研究に結びつけるために、人工衛星による赤道域圏界面のエアロゾル観測デ-タの解析を行った。これらの結果は、赤道域の下部成層圏の水蒸気輸送が、この領域のエアロゾル生成と密接な関連があることを示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 岩坂泰信,大和正彦,今須良一,小野晃: "エアロゾル粒子の電子顕微鏡による形状観察と散乱光の偏光解消度との対比ー室内実験ー" エアロゾル研究. 3. 36-41 (1988)
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[Publications] A.Nomura,T.Iwasaka,H.Fukunishi,T.Hirasawa,S.Kagwaguchi,and T.Kano: "Dynamics of the mesospheric sodium layer in Antarctica;Lidar measurements at Syowa Station,1985" Proc.NIPR Symp,Upper Atmos Phys.1. 75-83 (1988)
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[Publications] Y.Iwasaka,C.X.Zhang and K.Yoshimi: "Aircraft measurements on vertical changes in aerosol parameters-Remote sensing with detection of upwelling radiance from an atmosphere-ocean surface system" J.Geomag.Geoelectr. 41. 851-870 (1989)
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[Publications] Y.Iwasaka and Y.Morita: "Antarctic stratospheric aerosols-Size and number concentration measured by balloon" J.Geomag.Geoelectr.41. 613-626 (1989)
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[Publications] 岩坂泰信(共著): "オゾン層を守る" 日本放送協会出版, 224ペ-ジ (1989)
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[Publications] 岩坂泰信(共著): "南極の科学3、気象" 古今書院, 370ペ-ジ (1988)