1989 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能電子顕微鏡による高速粒子照射した金属・合金中の損傷欠陥形成発達過程の研究
Project/Area Number |
62420045
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
下村 義治 広島大学, 工学部, 教授 (40033831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向田 一郎 広島大学, 工学部, 助手 (70209980)
北野 保行 広島大学, 理学部, 助教授 (20033855)
福島 博 広島大学, 工学部, 助手 (70156769)
山川 浩二 広島大学, 工学部, 助教授 (50029493)
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Keywords | クライオ・トランスファ-電子顕微鏡法 / 変位カスケ-ド損傷 / 格子間原子集合体 / 中性子照射損傷組織 / ボイド / 積層欠陥四面体 / 核融合ー核分裂中性子照射損傷の相関 / ニッケル、銅 |
Research Abstract |
極低温にて核融合及び核分裂中性子照射した金属・合金の電子顕微鏡試料の液体窒素温度クライオ・トランスファ-電子顕微鏡観察による損傷形成直後の構造を調べる実験を行った。特に極低照射量の観察結果より変位カスケ-ド損傷形成時に損傷芯部の原子空孔は電子顕微鏡では観察出来ない程の極微小点欠陥集合体を形成しており、損傷部よりはじき出された格子間原子はかなり長距離にわたり移動して中心部よりかなり離れた所で集合体を形成する。格子間原子の集合体の大きさは金属の種類により非常に異なる事が判明した。照射量の増加に伴い変位カスケ-ド損傷部よりはじき出された格子間原子はそれ以前に形成している格子間原子集合体に吸収されるかまたはその近辺にて停止して新しい格子間原子集合体を形成する。このような格子間原子の長距離移動の機構は現在の所不明であるが我々が以前に明らかにしたカスケ-ド・エネルギ-・オ-バ-ラップ現象の起こす担い手であるであろう。高温における中性子照射により生ずる損傷組織を電子顕微鏡観察により詳しく調べた。ニッケルでは200℃にて照射した試料では、形成している原子空孔集合体はすべて積層欠陥四面体であったが、300℃にて照射した試料ではすべてボイドであった。原子空孔集合体は変位カスケ-ド損傷の芯において形成したと推測される。果たしてボイドの形成の核となる極微小な原子空孔集合体に水素及びヘリウム原子の介在が必要であるか非常に興味ある点である。また高温においても格子間原子は変位カスケ-ド損傷の芯より長距離移動して、核分裂中性子照射したCu,Niの様な金属では大きな転位ル-プを形成するが、核融合中性子照射した金属では比較的にPKAエネルギ-が大きいためにかなり多数の格子間原子が一度に打ち出されて安定な集合体を形成するために、比較的多数の集合体が形成する。核融合中性子照射は核分裂中性子照射と損傷欠陥組織が非常に異なる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 福島博: "Cryotransfer transmission electron microscopy experiment of low-temperature 14 MeV-neutron-irradiated aluminium" Phil.Mag.A60. 415-431 (1989)
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[Publications] 福島博: "Irradiation damages due to ions created in the vicinity of filament in a TEM" J.Electron Microscopy. 38. 473-476 (1989)
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[Publications] 福島博: "On the nature of TEM observed defect clusters in low dose neutron and ion-irradiated Cu,Ag and Au at room temperature" presented at ICFRM-4(Kyoto,December 1989)in press in J.Nucl.Mater.1990. (1990)
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[Publications] 福島博: "Annealing experiments of low temperature 14-MeV neutron-irradiated ordered and disordered Cu3Au by TEM" presented at ICFRM-4(Kyoto,December 1989)in press in J.Nucl.Mater.1990. (1990)
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[Publications] 渡辺仁志夫: "Computer simulation of displacement cascade structure in D-1 neutron-irradiated Au,Ag,Cu,Ni and Al with MARLOWE code" presented at ICFRM-4(Kyoto,December 1989)in press in J.Nucl.Mater.1990. (1990)
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[Publications] 下村義治: "Formation of displacement damage cascade and development of damage structure of neutron-irradiated metals" presented at ICFRM-4(Kyoto,December 1989)to be published in J.Nucl.Mater.1990. (1990)
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[Publications] 下村義治: "The structure and stability of small point defect clusters in fcc metals" presented at ICFRM-4(Kyoto,December 1989)in press in J.Nucl.Mater.1990. (1990)
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[Publications] 下村義治: "Cascade structure in low temperature fission and fusion neutron-irradiated metals" presented at the workshop on“Radiation Damage Correlation for Fusion Conditions"(Silkeborg,Denmark 1989). (1990)