1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62420048
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
益本 功 名古屋大学, 工学部, 教授 (70022978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WIGNARAJAH S 名古屋大学, 工学部, 助手 (90144120)
沓名 宗春 名古屋大学, 工学部, 講師 (20153299)
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Keywords | 溶接継手 / 疲れ強さ / 止端部処理 / レーザ再溶融 / 軟鋼 / 高張力鋼 / 急冷時効 / 交差回転ビーム光学系 |
Research Abstract |
溶接継手の疲れ強さは溶接のままでは その止端部の応力集中や組織的不連続などのため母材の疲れ強さに比べて低下する. 本研究では軟鋼,高張力鋼,アルミニウム合金の溶接継手を各種止端部処理し,疲れ強さ改善の程度について比較・検討した. まず,炭素含有量が0.007%〜0.019%の軟鋼の急冷時効材は空冷材に比べて疲れ強さが著しく高いこと及び炭素含有量が0.019%以上のものは疲れ強さがほぼ一定であることを確めた. 内部摩擦値の測定により,時効による固溶炭素量の変化量と急冷時効による疲れ強さの改善と密接な関係があることを確認した. 次に,高張力鋼をCO_2アーク溶接し,その止端部をKClレンズ及び交差回転ビーム光学系を用いてレーザにより再溶融し,疲れ強さの改善を計った. その結果,溶接止端部の形状がより滑らかになり,止端半径が約1mmから4〜5mmと拡大し,応力集中が緩和され,レーザで止端部を再溶融した溶接継手の疲れ強さは溶接のままのものに比べて改善された. とくに試作した交差回転ビーム光学系を用いてレーザ再溶融した継手は再溶融部の金属組織も細かいマルテンサイトとなり著しく疲れ強さが改善された. すなわち溶接のままの試験片の疲れ強さ15kgf/mm^2に対して22kgf/mm^2と母材のそれ(24kgf/mm^2)に近い値を示した. KClレンズを用いた場合と交差回転ビーム光学系を用いた場合,止端半径には大差がみられなかったが,再溶融部の組織及び硬さに著しい差がみられた. アルミニウム合金溶接継手についてもレーザ再溶融処理により疲れ強さの改善効果がみとめられた. 現在,軟鋼の工型梁(長さ840,フランジ幅70,ウェブ高さ150mm)の中央部をCO_2アーク溶接し,その止端部を各種処理した部材について,10トンの曲げ疲労試験機にて,実溶接部材の疲れ強さを比較・検討中である.
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