1987 Fiscal Year Annual Research Report
有機基礎反応における速度同位体効果の新測定法ーWhole Molecule Mass Spectrometeyの新検討ー
Project/Area Number |
62430007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
速水 醇一 京都大学, 教養部, 教授 (30025283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 孝治 京都大学, 教養部, 助手 (50026811)
松本 澄 京都大学, 教養部, 助教授 (20026818)
児嶋 眞平 京都大学, 教養部, 教授 (80026012)
大谷 晋一 京都大学, 教養部, 教授 (10026768)
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Keywords | ホールモレキュール質量分析法 / 脱離基同位体効果 / 求核置換反応 / 有機基礎反応 / GCーMS |
Research Abstract |
昭和62年度においては, 日本電子株式会社製の高分解能質量分析計DXー302型本体(GC装置付)を購入し, その運転に習熟するとともに, 測定条件の最適化に努めた. すなわち, 長時間安定したマスピークを得るために, 装置の微少振動の低減をはかることが重要であることを知ってこれに努力しつつ, 試料導入法の基礎的研究を行ない, 一定温度に保ったGC装置のオーブンからダンパーとして3m程度の毛管空カラムを挟んで試料を導入すると, 比較的安定したイオン流が得られることを確認した. しかしながら, 電子衝撃式イオン化装置から得られるイオン流の強度のゆらぎは, 数パーセントに及び, 当初予想したものよりかなり大きいので, 目下ダンパーの大きさの効果を更に試験中である. 現在, 装置メーカーと連絡しつつ測定に確立の向けて努力中のポイントは, 分子ピーク近傍のマスピークの相対的強度と実試料における検量線の問題である. 自然存在比のパラジクロルベンゼン,パラニトロベンジルクロリド等を用いて分子ピーク及び同位体分子ピークの強度を測定すると, 塩素についての自然存在比が再現されない事実が判明した. これはスリット調整等による測定者側の問題なのか, 装置の光学系に個有の性質なのか, まだ確定するには至っていない. いずれにせよ, 再現性のある検量線を得さえすれば実用的には補正係数を利用してWhole Molecule Massーspectroscopyの実行は可能との見通しを持っている. 尚,Whole Molecule Massーspectroscopyを適用する反応系としては, 予備実験から置換ベンジルクロリドの脱離基同位体効果, 2級ベンジルハライドの加溶媒分解におけるアジ化物の同位体効果が基礎反応としてよい対象であり, またグルコシル塩化物について脱離基同位体効果の測定が可能であることを知って昭和63年度の本実験に備えている.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 速水醇一: CHEMISTRY LETTERS. 4 (1988)
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[Publications] 速水醇一,向田直人,西川泰信: J. CHEM. SOC. CHEM. COMMUN.2 (1988)