1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62430012
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大政 正明 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (30092159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 泉 筑波大学, 化学系, 講師 (90155648)
大隅 一政 高エネルギー物理学研究所, 放射光研究施設, 助教授 (70011715)
末野 重穂 筑波大学, 地球科学系, 教授 (30110513)
浅野 肇 筑波大学, 物質工学系, 教授 (90005934)
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Keywords | 固溶体 / 元素の置換型式 / 散漫散乱 / 衛星反射 / 脱水反応 / メリライト族 / 極微小単結晶 / 濃度ゆらぎ |
Research Abstract |
本研究は固溶体を形成する物質中の固溶元素の分布を、単位胞内の平均値としてではなく、複数の単位胞にまたがる結晶内の比較的広い領域内の分布状態を求めることを目的としている。そのためには通常行われているブラッグ反射の測定ばかりでなく微弱な散漫散乱・衛星反射の測定が必要である。本年度は固溶体ばかりでなく関連物質についても上記の微細な散乱を与える物質の解析を行った。以下にその結果を示す。 (1)比較的広い固溶領域を持つCu_7BiS_5につき平均構造を明らかにするとともに、変調構造の解析を始めた、(2)pbsーBi_2S_3系のヘイロブス鉱のPbとBiの置換状態を明らかにするために、放射光(高エネルギ-物理学研究所)によりPb,BiのL吸収端に近い波長のX線を用い、強度測定と解析を行い、置換状態を定性的に明らかにした。(3)αーAlOOHからαーAl_2O_3を生成する脱水反応、αーFeOOHからαーFe_2O_3を生成する脱水反応につき、衛星反射のプロファイルの変化から結晶内の反応の進行を明らかにした。(4)メリライト族の珪酸塩のCoーアケルマナイトは顕かな衛星反射を示すが、主反射の解析による平均構造の決定、約215℃で相転移による衛星反射の消滅の発見を行い、更に現在変調構造の解析を行っているところである。(5)放射光による極微小単結晶の構造解析法の開発。現在スピネルの極微小単結晶の強度デ-タを用い、解析の精度のチェック等を行っている。(6)過飽和溶液の濃度ゆらぎの研究を新たに開始した。これは結晶化の初期における溶液内における濃度のゆらぎの存在をX線小角散乱法により明らかにしようと言うもので、目下予備的な測定と解析を行っている。なおこの計画は本年度で終了するが、この計画がきっかけとなった研究は今後共続行する予定である。
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[Publications] 大政正明: "無機化合物と高次構造" 日本結晶学会誌. 31. 66-74 (1989)
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[Publications] M.Ohmasa,K.Hagiya & K.Iishi: "Structure of synthetic Coーakermanite" Acta Cryst.series. (1990)
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[Publications] M.Ohmasa,K.Hagiya,S.Saito & S.Sasaki: "Studies on the process of reaction in crystals by SR." KEK Progress Report. (1990)