1987 Fiscal Year Annual Research Report
新規なTripod(三脚型)配位子を用いる酵素モデル錯体の合成と反応
Project/Area Number |
62430018
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
諸岡 良彦 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (70016731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 信正 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (20177843)
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Keywords | 酸素錯体 / モノオキシゲナーゼモデル / 炭化水素の酸化 / 二核銅μーパーオキソ錯体 |
Research Abstract |
かさ高い三脚型窒素性配位子,ヒドロトリス(3,5ージメチルピラゾリル)ボレイトおよびヒドロトリス(3,5ージフェニルピラゾリル)ボレイトを合成し,これを用いて酸素または過酸化水素処理により2核銅酸素錯体,(1)および(2)の単離に成功した. 1および2は, モノオキシゲナーゼの一種であるチロシナーゼと類似した分光学的性質を示し,特にその酸素・酸素結合振縮振動Voーoが通常知られているパーオキソ錯体に比較し低波数(756cm^<-1>)にシフトしており,OーOが切断され易いことを示す. 錯体1をシクロヘキセンおよびフェノールと反応させると酸化が進み,それぞれ対応する酸化生成物が得られる. 反応はパーオキソイオンがホモリティックに開裂し,銅(II)酸素ラジカルあるいは銅(III)オキソ種が活性種と推定され,チロンナーゼモデルとして興味深いが詳細はさらに研究中である. またメタンモノオキシゲナーゼのモデルとして三脚型窒素性配位子をもつ2核鉄錯体を合成し,電子供与体としてZn粉末を用いて炭化水素の酸素酸化を行った. この系は常温常圧の温和な条件で,シクロヘキサン,nーペンタン,ベンゼン,アダマンタン,シクロヘキセン等を酸化し,対応する水酸化物やケトン,エポキシドなどを与えることを見出した. 反応機構は過酸化水素を経由するフェニトン型反応とは異り,アダマンタンの2級炭素の酸化に比較的高い選択性を示す. この系につき,さらに他の還元剤を使う反応や,活性種と思われる錯体の同定など,反応機構を検討中である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N. Kitajima, H. Fukui, Y. Moro-oka: J. Chem. Soc. Chem. Communication. (1988)
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[Publications] N. Kitajima, T. Koda, S. Hashimoto, T. Kitagawa, Y. Moro-oka: J. Chem. Soc. Chem. Communication. (1988)
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[Publications] N. Kitajima, T. Koda, Y. Moro-oka: Chemistry Letters. 347-350 (1988)
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[Publications] Wataru Ando, Yoshihiko Moro-oka: "The role of oxygen in chemistry and biochemistry" Elsevier Science Publishers B.V., 614 (1988)