1987 Fiscal Year Annual Research Report
金属ポルフィリン錯体を触媒とする分子鎖長の制御された高分子の新合成法の開発
Project/Area Number |
62430020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 祥平 東京大学, 工学部, 教授 (20010762)
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Keywords | 金属ポルフィリン錯体 / アルミニウムポルフィリン錯体 / メタクリル酸エステル / リビング重合 / 付加重合 / 分子量分布 / ブロック共重合体 |
Research Abstract |
本研究は,金属ポルフィリン錯体を重合反応の開始剤として用いることにより,分子量の制御された高分子を広く合成するための一般的手法を開発することを目的としている. これまでの研究では,ヘテロ環状化合物の開環重合を中心の検討し,アルミニウムポルフィリン錯体(L)が,エポキシドやラクトンの重合反応を引起こし,分子量のそろったポリエーテルやポリエステルを与えることを見いだした. 本年度は,これらの知見をもとに,ビニル化合物の付加重合反応を検討し,アルキル基をアキシャル基(X)として有するアルミニウムポルフィリン錯体が可視光(420nm以下をカットしたキセノン光)の照射下でメタクリル酸エステルのリビング重合を引き起こすことを見いだした. 生成ポリマーの分子量はよく揃っており,その値は,アルミニウムポルフィリン錯体に対するモノマーの反応量に比例して増大した. また,たとえばメタクリン酸メチルを重合させた後にメタクリル酸ブチルを加えると,引きつづき付加重合がおこり,分子量のそろったAB型ブロック共重合体が生成した. 重合反応は,Lのアルミニウムーアルキル結合がモノマーに1,4ー付加する開始反応と生成するアルミニウムーエノラート結合に関する同様の付加反応のくり返しによる生長反応から成りたっていることがわかり,また,可視光照射による反応加速効果はこのいずれのステップにも観測された. 次年度は,本年度の研究の成果をもとに,アルミニウムポルフィリン錯体を開始剤として,アクリル謁エステル,アクリロニトリル,アクリルアミド等の極性ビニル化合物の重合反応を検討し,生成高分子の分子量が規制できるモノマーの範囲のさらなる拡張をはかる.
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[Publications] M.Kuroki; T.Aida; S.Inoue: J. Amer. Chem. Soc.109. 4737-4738 (1987)
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[Publications] M.Endo; T.Aida; S.Inoue: Macromo Lecules. 20. 2982-2988 (1987)
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[Publications] K.Shimasaki; T.Aida; S.Inoue: Macromo lecules. 20. 3076-3080 (1987)
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[Publications] T.Aida; K.Wada; S.Inoue: Macromo lecules. 20. 237-241 (1987)
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[Publications] L.Trofimoff; T.Aida; S.Inoue: Chem. Lett.991-994 (1987)