1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62440004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩槻 邦男 東京大学, 理学部, 教授 (10025348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 忍 東京大学, 理学部, 教務職員 (50196515)
畑中 信一 東京大学, 教養学部, 教授 (90012278)
加藤 雅啓 東京大学, 理学部, 助教授 (20093221)
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Keywords | ホウビシダ類 / 多様性 / 類縁関少 / 分類群 / 化学分類 |
Research Abstract |
ホウビシダ類に含まれる分類群を把握し,相互の類縁関係を明らかにすることを試みた. 野外調査によってホウビシダ類の生態的特性を明らかにし,収集した材料と〓葉標本を用いて,羽片の形状,節間長,胞子襄群の位置について定量的な比較形態学的観察を行うなどし,ホウビシダ類の変異を調べた. その結果,日本及び台湾でホウビシダとして認識されてきた分類群がホウビシダ(狭義,新種),タイワンホウビシダ(新種),ナンゴクホウビシダの3種を含む複合体であることがたしかめられた. また,これら3種と他の4近縁種の細胞分類学的特徴と生殖様式について種内および種間変異を調べ,有性生殖種と無配殖種の存在と,種によって種内倍数性があることをたしかめた. アイソザイム電気泳動法を用いて,無配生殖を行うホウビシダに遺伝的多型があり,そのうちの一型がホウビシダとナンゴクホウビシダの交雑によってもたらされたものであることを明らかにした. 現在,ホウビシダ類の多様性についてDNAおよびタンパクの化学分類学的研究をすすめている. 旧熱帯亜熱帯のホウビシダ類と近縁であると考えられたいる新熱帯に分布するAsplenium obtusifoliumなど数種について,両者の類縁関係の有無を検証するために,脈理などを比較したところ両者に明瞭な差異が認められた. 従ってその類縁関少を否定する結果が予備的に得られているが,それを確かめるために,胞子表面の微細構造の比較研究を現在行っている. 今後は,上記の研究をさらに進展させるとともに,配偶体世代にあらわれる多様性にも研究を拡げ,日本固有の単型属として分類されたこともある特殊化の著してヒメタニワタリとホウビシダ類の類縁関少についても研究する計画である.
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Research Products
(1 results)