1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62440004
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩槻 邦男 東京大学, 理学部, 教授 (10025348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 忍 東京大学, 理学部, 教務職員 (50196515)
加藤 雅啓 東京大学, 理学部, 助教授 (20093221)
畑中 信一 東京大学, 教養学部, 教授 (90012278)
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Keywords | ホウビシダ類 / チャセンシダ科 / 多様性 / 系統関係 / 分類群 / 化学分類学 / 細胞分類学 |
Research Abstract |
前年度までの研究によって日本および台湾に分布するホウビシダ類にどのような分類群が含まれているかを把握することができた。そこで今年度は、生化学的(非タンパク性アミノ酸)、形態学的、解剖学的および細胞学的(染色体数と生殖様式)形質の詳細な比較を行なった。そして種々の形質の比較によって得られた情報を変形分岐学(クラディスティックス)の手法を用いて総合することにより、分類群関相互の系統関係を明らかにすることを試みた。その結果、非タンパク性アミノ酸(とくに3,4ーデヒドロー2ーアミノピメリン酸)の分布パターンを種々の形態学的、解剖学的形質(節間長,根の太さ、根茎中の維管束構造等)の間には非常によいコリレーションが見られ、これらの形態は、ホウビシダ(狭義)、ナンゴクホウビシダ、ヤクシマホウビシダが単系統群であることを強く示唆した。同時に、前二者の分類群と共にホウビシダ(広義)としてまとめられていたタイワンホウビシダは、系統的に異なるものであることも示唆された。また、細胞分類学的研究の結果、ホウビシダ類はチャセンシダ科の中では例外的にx=39という基本数をもつことを明らかにした(チャセンシダ科の種は、ほとんど例外なくx=36)。このことは、同じ〈チャセンシダ科の中で唯一x=39の報告されている新世界産のA.obtusifolium群とホウビシダ類の類縁を強く示唆する。またn=76の報告されているヒメタニワタリとの関係も問題になる。ホウビシダ類、A.obtusifolium群、ヒメタニワタリが、いづれもチャセンシダ科の中で例外的な背腹性のある匍匐根茎をもつことも非常に興味深い。これらの群の間の類縁関係を詳細に調べていくことが今後の大きな課題であると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Murakami,Noriaki: J.Fac.Sci.Univ.Tokyo III. 14. 183-199 (1988)
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[Publications] Watano,Yasuyuki: Bot.Mag.Tokyo. 101. 213-222 (1988)
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[Publications] Murakami,Noriaki: Bot.Mag.Tokyo. 101. 353-372 (1988)
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[Publications] Mitui,Kunio: Amer.J.Bot.