1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62440009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 龍一 東京大学, 農学部, 教授 (00011958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 亮一 東京大学, 農学部, 助手 (60184701)
山岸 徹 東京大学, 農学部, 講師 (50143409)
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Keywords | 光合成 / 呼吸 / 収量 / 水稲 / 陸稲 / 品種間差 / ヘテロシス / Fハイブリッド |
Research Abstract |
1.δ^<13>Cの測定により、気孔からCO_2固定部位までのCO_2輸送抵抗を計算的に求めることに成功した。さらにδ^<13>Cの測定精度を高めるために、葉身から糖を抽出し、そのδ^<13>Cを測定することを急いでいる。これらの実験データより光合成の品種間差のメカニズムについての興味ある情報が得られつつあり、1989年8月にストックホルムで行われる国際光合成会議で発表することにしている。 2.今年度より始めた陸稲の光合成における耐乾性については、陸稲品種が水稲品種よりも明らかに高い耐乾性を有していることがわかった。そのメカニズムを調べたところ、葉内の水分状態が異なっているわけではなく、葉内の光合成機構そのものに耐乾性があり、陸稲ではむしろ弱い水ストレスがかかっていた方が光合成機構の活性は高くなることが示された。今後はCO_2固定にかかわる生化学的反応の速度と,その反応の場である反応液の浸透圧との関係を調べていくつもりである。 3.光合成における雑種強勢のメカニズムを、不稔系、維持系、回復系の光合成を測定することによって調べたところ、F1雑種の高い光合成速度は不稔系からもたらされる可能性が高いことが示された。 4.以上のような個葉レベルの光合成の研究とともに、水田における個体群の光合成、呼吸についても実験を進めた。その結果、日中の呼吸は夜間の呼吸よりもはるかに高いこと、また日中の呼吸は日射量に比例して変化していること等が判った。こうして得た1日の全呼吸量は今まで考えられていた大きさよりもはるかに大きく、1日のCO_2収支を考える上で、呼吸の果たす役割は極めて重要であると考えられた。今後この測定装置をフルに活用して呼吸の実験を行うこととしたい。 今年の実験結果は主に光合成に係わるものであり、収量部分についての実験は来年度に精力的に行う積りである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ernest,Otoo;Ryuichi,Ishii;Atsuhiko,Kumura.: Japanese Journal Crop Science. 58. (1989)
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[Publications] Haruto,Sasaki;Ryuichi,Ishii;Atsuhiko,Kumura: Japanese Journal Crop Science.
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[Publications] Jun Ishihara;Ryuichi,Ishii: Crop Science.