1988 Fiscal Year Annual Research Report
作物および未利用資源植物における種子形成の比較超微形態
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62440010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 英三 名古屋大学, 農学部, 教授 (60023404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 武 名古屋大学, 農学部, 助教授 (10023409)
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Keywords | イネ / 子房 / 幼胚 / 果皮細胞 / 胚柄細胞 / 原形質連絡 / 隔壁形成顆粒 / 微小管 |
Research Abstract |
開花約1日後のイネの子房を固定・包埋し超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡を用いて観察した。すでに幼胚は、胚柄細胞と合点側に位置する数個の細胞から構成されている。胚柄細胞内には、高密度にリボゾームが分布し、澱粉粒を含むプラスチドがあり、仁及び仁液胞を含む細胞核が見られる。胚柄細胞は、厚い細胞壁により球心細胞と隔てられている。小数の遊離核を原形質の周辺にもつ多核体である中央細胞と胚柄細胞との間の細胞壁は薄く、原形質連絡により胚柄細胞と中央細胞とが連なっている。合点側の細胞では細胞壁形成が殆ど見られず、中央細胞との間は細胞膜のみで隔てられている。胚細胞の細胞膜は、原形質内に多くの管状の細いキャナルを形成し、しばしば、このキャナル内に電子密度の高い物質が存在する。このような構造は、中央細胞からの物質の移動を容易にすると考えられる。子房壁すなわち果皮の細胞は、著しく生長し、外表皮に近い中間層では、細胞が肥大し大型の澱粉粒と大型の液胞を含み大きな細胞間隙が見られる。内側の中間層細胞は分散した小さな液胞を含み、小型の澱粉粒をもつプラスチドが含まれている。またこの位置の細胞は、しばしば細胞分裂を行っている。分裂細胞では、まづ核膜の崩壊が始まるが、分裂前期では染色質に核膜の断片が付着している。分裂中期には染色質が細胞の中央に集まり、やがて両極に分かれる。この際染色質には両極にのびた微小管がつらなると共に、核膜の断片が付着しているのが見られる。染色質が両極に移動したあとでも、微小管が中央に残り、この両染色質に連絡する。染色質の周囲全体に核膜が形成された頃、隔壁形成顆粒が細胞の長軸に沿った細胞壁に垂直に細胞の中央から一列に形成される。核膜が完成し染色質が分散しはじめると、壁を形成する隔壁形成顆粒は融合し細胞板を形成し、分裂開始前の細胞壁と垂直に融合する。このようにして、果皮に包まれた幼胚が生長する。
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