1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62440013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 秀昭 九州大学, 農学部, 教授 (60038198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 元輝 九州大学, 農学部, 助教授 (00038283)
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Keywords | Azolla / Anabaena azollae / 微生物的窒素固定 / ラン藻 / 細胞壁溶解菌 / 溶解酵素 / プロトプラスト |
Research Abstract |
ラン藻と水生シダの共生体であるAzolla-Anabaenaは、マメ科植物ー根粒菌共生系に匹敵する高い窒素固定能を有する。本年度は、まず、西日本に合布する3種のAzolla-Anabaena共生体、A.imbricata(Okinawa)、A.japonica(Chikugo)、A.japonica(Matsue)について、その生育と窒素固定活性に及ぼす種々の環境要因の影響を検討した。P、K、Ca、Mgの無機養分はいずれも1mMが至適濃度であった。アンモニア態窒素は濃度が高まるにつれて共生体の生育と窒素固定活性を著しく抑制した。硝酸態窒素では、生育量は殆ど影響を受けなかったが、窒素固定活性は濃度の高まるにつれて次第に低下した。A.imbricata(Okinawa)の至温度は25℃であったのに対し、A.japonica(Chikugo)およびA.japonica(Matsue)ではともに20℃であり、Azollaの種間における温度依存性の違いが、その地域分布と密接に関係していることが明らかになった。共生体から酵素処理によりalgal packetを分離し、その中から共生ラン藻Anabaena azollaeを単離した。共生ラン藻の糸状体中のヘテロシストの割合は単生ラン藻に比べてかなり高かった。Azollaおよびalgal packet中の水溶性糖は、シュクロース、フルクトース、グルコースで、そのうち、シュクロースが約50%を占めた。つぎに、土壌よりラン藻溶解菌の検索を行い、前年度分離したFlexithrix sp.(CLー101)より溶解活性の高い2種の細菌、Arthrobacter sp.(CLー105)およびBacillus sp.(CLー106)を分離した。これらの溶解菌による溶解酵素の産生は、1%ぺプトンおよび0.2%K_2HPO_4を含むpH7.5のDMD培地の24時間培養で最大であった。Bacillus sp.(CLー106)株の培養液の遠沈上清を用い、0.03MのTrisーHCL緩衝液(pH7.5)に0.5Mのシュクロースを浸透圧調節剤として加えらた反応液中でラン藻細胞のプロトプラスト形成を行った。得られたラン藻細胞プロトプラストの細胞融合を効率よく行わせるためには、ラン藻細胞のプロトプラスト形成率およびプロトプラスト生在率をさらに高めることが必要と考えられた。
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