Research Abstract |
本年度の研究は,研究課題を達成するための最も基本となる実験定数の実測および試験法の確立,基本現象の確認をおこなったものである. 1,化学物質の土中移動については,まず,ベントナイトのNaと改良液中のCaの交換反応について粘土粒子に吸着されたNa,Ca量,土壌溶液中のCa,Na量を原子吸光光度計を用いて測り,改良液の全農度によりにより若干異るものの,交換反応は極めて早くおこなわれることを示す交換曲線を得た. また,標準砂中の水の浸透によるNaClの分散について,排水の自動EC測定により,ブレイク・スル曲線を飽和流および不飽和流について測り,分散理論の解析と対比して分散系数を流速の関数として測った. その結果,分散係数が流速と一次に比例し,不飽和流における含水率依存が大きいことをみた. 2,土壌における大孔〓の役割については,粘土の乾燥收縮により発生するキレツに着目し,乾燥に伴う粘土中の水分減少と蒸発速度を測り,キレツを通る水蒸気移動が乾燥の進行につれて増大し,最大6mmにもなり,粘土表面の乾燥が進けと,この水蒸気移動のみにより粘土下方の乾燥が進む事をみた. 3,土壌構造と根の伸長については,大豆根を用い,根の伸長をそれより外部に導く三角土壌箱を作り,伸長力を測り,それが幼根時に17kg/cm^2になり,光の周期に対応して生長が左右され,これにより変化することをみた. 4,土壌粒子の移動については,現地における5m×20mの枠斜面上に発生する地表流水による表面流亡を半期にわたれ追跡し,流亡土量が重力の斜面方向およびU.S.L.E.式の地形因子と直線関係にあり,傾斜3度の斜面では粒子はシルト,粘土が多く,傾斜が強いと原土の組成に類似することをみた. 5,物質循環システムの単位モデルの確立については,そのためのパソコンシステムの作成とデータ処理プログラムの確立をおこない,実験系におけるシステムを用い検討し,使用した.
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