1987 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫マウスにおける異常T細胞の個体・クローン遺伝子レベルでの解析
Project/Area Number |
62440033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 恭一 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80152825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
刈米 アイ 東京大学, 医科学研究所・免疫研究部, 教務職員 (50114450)
滝口 雅文 東京大学, 医科学研究所・免疫研究部, 助手 (00183450)
片桐 拓也 東京大学, 医科学研究所・免疫研究部, 助手 (70126100)
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Keywords | 自己免疫 / 全身性リンパ節腫脹 / lpr遺伝子 / gld遺伝子 / Lytー2ーL3T4ーt細胞 / L3T4ーB220ーT細胞 / B細胞 / 骨髄細胞移入実験 / lg重鎖アロタイプ / チロシン燐酸化酵素 / 細胞性癌遺伝子 / cーsrc / cーmyc |
Research Abstract |
(1)自己免疫自然発症マウスlpr及びgldにおいて, 腫脹リンパ節を構成する新たな異常細胞群として, L3T4弱陽性, B220陽性のT細胞を見出した. このT細胞の出現動態及び機能は, 主細胞群Lytー2ーL3T4ーT細胞と類似していた. このことは, lpr遺伝子の標的細胞がheterogeneityを有すること, また lpr遺伝子の作用点がL3T4系列のT細胞分化経路上に存在することを示唆する. (2)lpr遺伝子作用の細胞性機序を知るために, MRL及びC57BL/6マウスのlpr/lpr及び+/+マウスの種々の組合せを用いて, 骨髄細胞の養子移入実験を行った. 受容マウスの血中自己抗体igアロタイプの解析から, lpr遺伝子が, 自己抗体産生に関わる何らかの内在的異常をB細胞にも発現している可能性が示唆された. また, lgアロタイプを介する自己抗体産生調節機構の存在が判明した. 腫脹リンパ節を構成する細胞の分化抗原アロタイプ(Lyー1.1及びLyー1.2)の解析から, lpr遺伝子作用の標的分子が, この細胞自身に表現されていることが証明された. (3)その標的分子を検索するため, Lytー2ーL3T4ーT細胞を精製し分子レベルで解析した. この細胞では, 60KDaの細胞膜蛋白分子のチロシン残基が正常T細胞に比べて約7倍過剰にリン酸化されていることが判明した. 免疫沈降及びペプチドマップの結果から, この分子がcーsrc遺伝子組物である可能性が示唆それた. (4)我々が既に報告した, この細胞のTPAとA23187に対する低応答性機序として, この細胞では誘導されるべきcーmyc mRNAがシクロヘキシミド感受性蛋白分子によって能動的に抑制されることが判明した. 本年度見出された二つの細胞性癌遺伝子cーsrcとcーmycの発現異常は, lpr遺伝子の発現の結果生じるリンパ球の分化及び増殖における異常の分子機序ひいてはlpr遺伝子産物を解明する糸口となるであろう.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ai Karivone; Masafumi Takiguchi; Satoshi Igarashi; Kyoichi Kano: Cell. Immunol. (1988)
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[Publications] Takuya Katagiri; Philip l. Cohen; Robert A. Eisenberg.: J. Exp. Med.(1988)
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[Publications] Takuya Katagiri; Koko Katagiri; Philip L. Cohen; Robert A. Eisenberg.: submitted for publication.
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[Publications] Takuya Katagiri; Jenny Ting; Philip L. Cohen; Shelton Earp.: submitted for publication.
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[Publications] Koko Katagiri; Takuya Katagiri; Shumpei Yokota; Philip L. Cohen; Jenny Ting.: submitted for publication.
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[Publications] 片桐拓也,片桐晃子,狩野恭一,S.Earp,R.Eisenberg: 日本免疫学会総会学術集会記録. 17. 671 (1987)