1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62440042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
多田 啓也 東北大学, 医学部, 教授 (20046907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 正広 東北大学, 医学部附属病院, 助手
大浦 敏博 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (10176828)
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Keywords | 非ケト-シス型高グリシン血症 / グリシン開裂酵素 / 出生前診断 |
Research Abstract |
非ケト-シス型高グリシン血症(NKH)は新生児期から著明な中枢神経症状を示し数週以内に死亡するか、生存し得ても重度の中枢神経障害を呈する神経難病である。本症はグリシン開裂酵素の欠損に基づくが、新生児型の大部分はグリシン開裂酵素のP蛋白の欠損によることが我々のこれまでの研究により明らかにされている。そこで我々はヒトP蛋白をコ-ドするcDNAをクロ-ニングし、これを用いてP蛋白欠損を示した症例のゲノムDNAの解析を行なった。8例の肝より抽出したゲノムDNAを数種類の制限酵素で消化し、サザンブロット解析を行なった結果、中1例においてPst Iにより0.5kb,Sac Iにより0.6kb,Taq Iにより1.5kbのバンドが特異的に消失しており、遺伝子の部分欠失があるものと推測された。4つに分割したcDNAプロ-ブを用いて調べた結果、この例の欠失部位は5'側の一部にあることが判明した。 また別のNKH兄弟例(新生児型でP蛋白活性欠損に基づくことが肝で確認されている例)の弟(5才時死亡)の剖検肝を用いP蛋白mRNAをcDNA化し構造解析を行なった結果、蛋白翻訳領域に三塩基の欠失が見出された。この結果N末端より756番目のフェニルアラニン1個が欠落したP蛋白が作られていることが判明した。さらに検索の結果この変異は19エクソンに存在することが分った。次いで正常のP蛋白cDNA及び変異P蛋白cDNA(上述の三塩基欠失を有するcDNA)をそれぞれ発現ベクタ-(pーEUKーc)に組込み、それぞれのベクタ-をリポフェクチン法によりCos7細胞に導入し、48時間培養後にそれぞれの細胞のP蛋白活性を測定した。その結果、正常のP蛋白cDNAを導入した細胞では著明なP蛋白活性が認められたが、変異cDNAを導入した細胞ではP蛋白活性は全く認められなかった。この所見はこの変異がP蛋白活性低下の原因となっていることを示すものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hayasaka,K.,Tada,K.et al.: "Prenatal Diagnosis of nonketotic Hyperglycinemia:Enzymatic Analysis of the Glycine Cleavage System" Journal of Pediatrics. 116. 444-445 (1990)
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[Publications] Tada,K.et al.: "Genomic Analysis of Nonketotic Hyperglycinemia:A Partial Deletion of Pーprotein Gene" J.Inherit.Metab.Dis.13. 766-770 (1990)
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[Publications] Kure,S.,Tada,K.et al.: "Structual and Expression Analyses of Normal and Mutant mRNA encoding Human Glycine Decarboxylase" Biochem.Biophys.Res.Comm.(1991)
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[Publications] Tada,K.(Fernandes,J.,Saudubray,J.& Tada,K.eds): "Inborn Metabolic Diseases" SpringerーVerlag,Heidelberg, 730 (1990)