Research Abstract |
侵襲下のホルモン動態についてみると, 食道癌手術は他の復部手術に比して侵襲が大きく, 術中術後のホルモン変動が著しい. 成長ホルモンやソマトメジンCは術中から, 一方, インシュリン, グルカゴン, コルチゾールは術後に著明に増加は, 術後4時間目が最もホルモン変動が激しく, 生体が不安定な状態におかれることが判明した. また, T^3やT_4は術後著明に減少し, 7日から14日目にかける回復する, 一方, 尿中カテコーリアミン排泄量は, 術直後から著明に上昇し, この上昇は10病日まで続き, 手術の種類によって大きく異なる. このことから, T_3T_4は侵襲からの回復の過程を, また, 尿中カテコールアミンは侵襲の大きさと推移を示す指標として重要であると考えられた. これらのホルモン変動は, 総じて7〜14日までの間に鎮静化するが, この時期に到って初めて, Nーバランスや尿中3ーメチルヒスチジン排泄量は改善し, 栄養指標としてのRapid turn over protein(RBP,PA,トランスフェリン)も回復する. 一方, この侵襲と深くかかわる免疫系の反応をみると, 侵襲下においては白血球数の増加と, これにつづく白血球機能(貧食能など)の亢進がみられ, 食道癌術後には3日をピークとして, 7日以上続くこと. また, リンパ球数の低下と, 免疫グロブリンの低下, リンパ球サブセットの変化がみられることが判明し, その変動や回復には. ホルモンや栄養が深くかかわることが示唆された. 間接熱量測定,安定同位体を用いた侵襲下の,糖,蛋白,脂肪の動的な代謝変動の解析を現在,上記の結果をもとに継続中である.
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