ヒト歯根膜由来株化線維芽細胞の超微細構造学的・細胞化学的研究

1987 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62440071
• Research Institution: Tokyo Dental College
• Principal Investigator: 見明 清 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (30085691)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 平山 明彦 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (30130131) ; 山田 まりえ 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (70115088)
• Keywords: 歯根膜 / 線維芽細胞 / 単一細胞性クローン / 微細構造 / Alkaline Phosphatase

Research Abstract

歯根膜組織のin vivoさらには歯根膜組織片のoutgrowthにより得られた細胞集団を材料とした検索により, この組織の主構成細胞である線維芽細胞には高いAlkaline Phosphatase (ALPase)活性が証明され, この細胞は歯肉を含む他の結合組織のものとは異なる性状, 機能を有することが想定された. そこで本研究はin vitroの系でこの細胞の生存, 生育の動態さらに外力および外部環境の変化に対する細胞応答性につき形態学的に観察し, 歯根膜中の線維芽細胞の機能を明かにすることを目的とした. 初年度は第一段階として安定した実験系確立のため, ヒト歯根膜由来線維芽細胞の単一細胞性クローン株の樹立を試み以下の成果を得た.
1)歯根膜線維芽細胞の単一細胞クローン株の樹立
ヒト歯根膜からコラゲナーゼ処理により得られた768個の細胞をマイクロピペットにて96穴マイクロプレート1穴につき1個ずつ移し, 培養を継代し, 7株の細胞性クローン株を樹立した. そのうち4株の細胞に皮膚由来の線維芽細胞と比較して2ー5倍の高いALPase活性が認められた.
2)樹立株の超微細構造学的・細胞化学的検索
細胞は幅10ー20μm長さ100μm以上に及ぶ紡錘型を呈しその中央部に, 1〜2個の核小体をもつ卵円形の核が認められた. 細胞内は粗面小胞体, ミトコンドリアなどの細胞小器管で満され, 核近傍にはゴルジ野が観察された. 細胞周囲にはこの細胞が産生したと思われる線維状の細胞外基質が認められた. またALPase活性は継代後8日でほとんどの細胞で認められるようになりその活性は主として形質膜に沿って認められた.
この樹立株は次年度以降の外力等による細胞応答の実験的解析に有効に用いられるものと考えられる.