1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62440078
|
Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
島野 達也 奥羽大学, 歯学部・歯科放射線学講座, 教授 (20083462)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 みどり 奥羽大学, 歯学部・歯科放射線学講座, 助手
宮澤 忠蔵 奥羽大学, 歯学部・口腔衛生学講座, 助教授
鈴木 陽典 奥羽大学, 歯学部・歯科放射線学講座, 助教授
|
Keywords | ESR / 被曝線量の測定 |
Research Abstract |
歯エナメル質に放射線によって生じるCO^<3->_3ラジカルをESR測定装置で測定して個人の被曝線量を求める方法は、原爆被爆者や放射線技師の線量測定ばかりでなく、一般人の被曝線量測定にも十分利用できる事がこれまでの研究からわかってきた。(昭和62年度・昭和63年度実績報告書参照。)ところで、歯が個人の生涯線量計になるにはエナメル質に形成されたCO^<3->_3ラジカルが長期間安定である事が必要である。通常、歯エナメル質表層の炭酸濃度は年齢とともに低下するが、その原因のひとつとして唾液を介して供給されるフッ素による置換があげられている。今回、実験的にCO^<3->_3ラジカルを形成させたエナメル質試料をフッ素処理して、CO^<3->_3ラジカルによる信号の減少について調べたところ、1ケ月間処理したものまでのデ-タは得られており、フッ素処理によって一度生成されたCO^<3->_3ラジカルの量が減少する事はなかった。なお、これについては継続実験中である。また、100R〜10,000Rの線量を照射したエナメル試料(10mg〜500mg)をESR測定して、試料の量と信号強度の関係について調べた。いずれの線量の場合も300mgまではエナメル量の増加に伴って信号強度は直線的に増加した。ところで、エナメル質は有機物を含んでおり、有機物による信号はCO^<3->_3ラジカルによる信号の強度を見かけ上大きくさせる。その影響の程度について調べた結果、エナメル量とは無関係に、半致死線量程度ではCO^<3->_3ラジカルの信号強度が真値に対して3%大きくなり、100R程度では17%大きくなる事がわかった。100R以下については現在実験中である。これらの実験中エナメル質試料の保管に使用した容器の一種に、CO^<3->_3ラジカルによる信号を消失させる程大きな信号をエナメル試料上にのせるものがあった。この容器は一般に良く用いられているものであり、製造元に問い合せ中である。
|