1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62440089
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀田 凱樹 東京大学, 理学部, 教授 (30010036)
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Keywords | ショウジョウバエ / 胚初代培養 / P因子 / ニューロン分化 |
Research Abstract |
神経系の発生分化に異常をおこす多数の突然変異を得た。またNaイオンチャンネル遺伝子の候補のクローニングにも成功した。本年度は特にこれらの突然変異遺伝子の生理・薬理活性について詳しい解析を行うために、胚の初代培養系を改良した。またトランスポゾンP因子挿入により突然変異誘発と、それによる新しい遺伝子クローニングの手法を開発した。主な成果を下記に要約する。 (1)単一胚初代培養における遺伝子型判定法の確立 一般に解析すべきものは劣性致死である場合が多い。したがってヘテロ接合間のかけあわせのF1に約4分の1出現する突然変異ホモ接合胚を識別する必要がある。そのためにhspプロモータと大腸菌laczとの融合遺伝子をバランサー染色体に挿入したものを作成した。F1胚を個別に2分して培養し、その一方でβーガラクトジダーゼ活性を組織化学的に検出する実験を行い、100%の信頼性をもって胚の遺伝子型を判定する条件を確立した。 (2)上記の手法を用いてNaチャンネルと遺伝子候補DIC60を欠失する変異種について、その培養下でのニューロンのベラトリジン・テトロドトキシンなどの薬理効果を調べた。その結果、胚ニューロンではDIC60の他に活性となっている他のNaチャンネル遺伝子が存在することを証明した。 (3)昨年度にひきつづき胚神経系の形態異常をおこす突然変異多数について、単一胚培養系での神経や筋の分化を解析した。 (4)不完全P因子をもつプラスミドと、PトランスポゼースとpUC8、ネオマイシン耐性遺伝子をもつDNAをP因子形質導入法を用いて別の系統のゲノムに導入した。このかけあわせにより、単一P因子の転移が誘発されることを確認した。
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[Publications] Inoue,H.;Yoshioka,T.;Hotta,Y.: J.Biochem.103. 91-94 (1988)
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[Publications] Matsumoto,E.;Hirosawa,K.;Takagawa,K.;Hotta,Y.: Cell Tissue Res.252. 293-300 (1988)
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[Publications] Yoshihara,M.;Takasu,E.;Sakai,Y.;Hotta,Y.;Okamoto,H.: Proc.Jpn.Acad.(SerB). 64. 172-176 (1988)
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[Publications] Tanaka,Y.;Maruyama,K.;Mikawa,T.;Hotta,Y.: J.Biochem.104. 489-491 (1988)
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[Publications] Yamada,T.;Hotta,Y.: Biomed.Research. 9. 437-442 (1988)
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[Publications] Sakai,T.;Okamoto,H.;Hotta,Y.: Cell Different & Dovelopment.
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[Publications] 堀田凱樹,岡田益吉 編: "シリーズ分子生物学の進歩9 ショウジョウバエの発生遺伝学" 丸善, (1989)