1987 Fiscal Year Annual Research Report
フェライト超微粒子と高磁場勾配分離を用いる細胞エンドサイトーシスの分子機構の研究
Project/Area Number |
62440091
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 俊一 京都大学, 理学部, 教授 (00025272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 智 京都大学, 理学部, 助手 (30183049)
楠見 明弘 京都大学, 理学部, 助手 (50169992)
伊藤 忠直 京都大学, 理学部, 助教授 (90093187)
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Keywords | エンドサイトーシス / 超微粒子 / フェライト / 高磁場勾配分離 |
Research Abstract |
フェライト超微粒子への生物学的リガンドの結合; 一辺5ー8nmのフェライトの表面を脂肪酸及びリン脂質によってコートし,そのコート層に糖脂質やアルキル化タンパク質を組み込む方法を開発した. この方法によって,アシアロガンクリオシドやIgAポリマーをフェライト微粒子に結合させた. 高磁場勾配分離; 30ー50μmの磁性ステンレス細線をメッシュ状に拡散接合加工し分離担体とした高磁場勾配分離カラムを開発した. ステンレス細線の充填条件を検討し,フェライト超微粒子の分離遊離等の特性を向上させた. リガンドの細胞への投与; ラットを用いて血流中投与あるいは灌流によってリガンドを肝細胞に投与した. 取り込みの速いアシアロガングリオシドを結合させたリガンドでは,粒子Ca^<2+>による凝集を抑制すると高率で肝実質細胞に取り込まれた. 取り込みの遅いIgAポリマー結合リガンドでは,取り込み特異性は低く,IgAポリマーの細胞内輸送の特徴であるトランスサイトーシスは低率でしか起きなかった. これはリガンドの結合状態を改善する等によって検討したい. 捕集されたエンドソーム,リソソームのCharacterization; アシアロガングリオシドを結合させたフェライトを投与した細胞から高磁場勾配分離によって特異的エンドソームを得た. 灌胤時間を変えることによってエンドソームの比重などが経時的に変化し,これはエンドソームの細胞内運送過程における変化を反映していた. エンドソームはリソソームと融合する前段階においてリガンドと受容体を含む小胞から一方のみを含む小胞に分裂は,それらのタンパク質組成が異なることを示した. これらの機能をin vitroにて検討し,エンドソームの形態変換,膜融合や分裂の分子機構の研究を開始した. また各段階のエンドソームのタンパク質に対する単クローン抗体の調製を始めている.
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[Publications] 大西俊一,永山国昭,村田昌之: Biochemistry. 26. 4056-4062 (1987)
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[Publications] 村田昌之,菅原由起,高橋敞,大西俊一: J. Biochem. 102. 957-962 (1987)
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[Publications] 大西 俊一: Current Topics in Membranes and Transport. 32. 257-296 (1988)
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[Publications] 大西 俊一: 生化学. 60. NO.6 (1988)
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[Publications] 池上明編 大西俊一: "生命科学の基礎6 生体膜の分子素子・分子機械" 学会出版センター, (1988)