1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62450009
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Research Institution | TOKYO NATIONAL MUSEUM |
Principal Investigator |
矢部 良明 東京国立博物館, 学芸部工芸課・陶磁室長 (70000338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 敦 東京国立博物館, 学芸部東洋課, 中国美術室員 (50193644)
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Keywords | 中国陶磁 / 景徳鎮 / 伊万里焼 / 唐・五代の中国陶磁 / 宋・元の中国陶磁 / 古瀬戸 / 三彩・緑細 / 桃山茶陶 |
Research Abstract |
3ケ年にわたる研究の集大成として、中国陶磁と日本の陶磁とを、対照比較してみた。その比較は技術と様式とを区別し行った。そして、術技では、受けとめた技術と受けとめなかった技術とを区別した。 その結果、日本の弥生時代にあたる漢時代に、日本ははじめて中国陶磁との交流をもち得る状況に有りながら、中国陶磁に限っては受容しなかった点を明らかにし、その理由を弥生人の文明に対する価値の置きかたに求めたのであった。そして、つづいて (1)唐、五代の中国陶磁と奈良、平安時代の日本陶磁 (2)宋元の中国陶磁と鎌倉、室町時代の日本陶磁 (3)中国陶磁をだきこむ桃山美術界 (4)景徳鎮の磁器と伊万里焼 以上4点の視点から対照比較し、(1)(2)(4)がいずれも通常のパタ-ンに従って中国陶磁から日本陶磁への流れであったのに対して、(3)の桃山時代のみが、中国にむかって日本の焼物をつくらせるという快挙をおこなったことが判明した。結局、日本陶磁にとって、中国陶磁はつねに技術と作風の指導を行なったが、その作風は中国の手本をすぐに日本風に作り変える歴史を展開してきた。ここに日本の陶磁界の主休性をみてとることができる。その精神がもっとも顕在化したのが、(3)の桃山時代であった。
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