1987 Fiscal Year Annual Research Report
昭和戦前期の絵画の調査研究ー1926年から1945年まで
Project/Area Number |
62450010
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Research Institution | The National Museum of Modern Art,Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 吉一 東京国立近代美術館, 企画資料課, 課長 (40000385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 正明 東京国立近代美術館, 美術課, 主任研究官 (00113423)
市川 政憲 東京国立近代美術館, 企画資料課, 主任研究官 (20099930)
千葉 成夫 東京国立近代美術館, 企画資料課, 主任研究官 (00101006)
藤井 久栄 東京国立近代美術館, 美術課, 主任研究官 (30000384)
浅野 徹 東京国立近代美術館, 美術課, 課長 (60000387)
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Keywords | 戦争記録画 / 日本におけるプロレタリア美術運動 / 日本のシュルレアリスム絵画 / 岡本唐貴 / 矢部反衛 / 北脇昇 / 小牧源太郎 / 梅原龍三郎 / 児島善三郎 / 独立美術協会 / 春陽会 / 滝口修造 |
Research Abstract |
1.戦争記録画に関する調査研究 当館は1969年に戦後合衆国により接収されていた戦争記録画153点の返遷を受けているが, この他にも江田島海上自衛隊第一術科学校教育参考館や北九州方面にも資料が残されていることがわかった. 本年はそれらの内容を調査し, またそれらを含めて出品歴を調べるための関連資料の収集に専念した. 2.プロレタリア美術に関する調査研究 岡本唐貴, 矢部友衛, 柳瀬正夢などの活動を通しプロレタリア美術運動全体の正確な編年を明らかにすべく基本的な文献, 雑誌,マニフェストの調査および収集に専念した. 東京都美術館の岡本文庫をはじめ, 遺族などからの資料にあたった結果, 主な雑誌のバックナンバーおよび関連資料を入手することができた. 今後は, これらの資料により, 前衛からプロレタリア美術運動への移行および, 運動それ自体の展開と終焉を明らかにしたい. 3,前衛美術に関する調査研究 当館は北脇昇の作品約140点を所蔵するが, 今回の調査による遺族が所蔵する彼の制作ノートが発見された. この他にも小牧源太郎氏のスクラップブック3冊のうち2冊なども発見された. 今後はこれらの資料を中心として日本のシュルレアリスム運動について研究をすすめてゆきたい. また, 神原泰文庫および滝口修造の蔵書などもあわせて調査中である. 4.独立美術美術協会を中心とした日本的傾向の油絵の調査研究. 本年度は, 当館の「梅原龍三郎遺作展」が開催されたので, それにちなんで梅原の日本的傾向について研究すべく資料を集めた. その結果はカタログに反映されている. 本年は,さらに範囲を広げ, 児島善三郎など日本的傾向の全体を明らかにし, 次にその背景となるナショナリズムの思想との関連を考えてゆきたい.
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