Research Abstract |
1.本研究においては, 日本における中国革命派・変法派の活動と, 彼らに関係のあった日本人の活動を明きらかにすることを主眠とした. かれらの行動の足跡をたしかめるためには, 中国や日本の近代社会の構成や, 彼等自身の個人的特徴,対人関係を充分に理解しなければならない. また, かれ等が活動していた地域の社会経済的条件や地理について詳細に承知していなくてはならない. これらの点に関しては, 設備備品費でかなり基礎的で重要な史籍・史料を購入することができたので, 多大な便宜を得た. 2.この研究により, 革命派・変法派の主要人物については, 現状で望み得るもっとも網羅的な形で, 基礎的史実を確認することができた. また, 関係日本人の遺族などの動向もかなり知ることができた. 彼らの活動, 活動地点, 関連史料(遺跡・遺物を含む)の概要や保存・展示状況, 関係者遺族等の動向については, 写真等を付して, 一覧表的なリストとして公刊できたなら, 研究者に多大の便宜を与えるものと思う. 3.本研究は, 申請段階でも述べたように, 基礎的史実の調査・確認を主目的としたものであり, 「新たな知見・成果」といっても, 旧説・通説の根本を動揺させるようなものは少ない. しかし, この限界内においては既刊の史料集を補足・訂正できる成果は無数である. 孫文や蒋介石等重要人物のプライヴァシイについてもかなり判明しているが, 事柄の性質上,研究や公刊が思うように行かぬのは残念である. 4.以上の次第で史料をそのまま公刊しただけでも研究者に稗益すること多大と思われる. まだ, 量的に多すぎて整理・出版が容易でないこと,日本人の書簡等が中国史研究者にとってはかえって解読困難であること,という難点がある. 次年度には整理, 分析に重点を置き, 史料・成果の概要もしくは一部だけでも出版準備をしたい.
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