1988 Fiscal Year Annual Research Report
西洋古典文学における写本伝承史と本文校訂論の実証的研究
Project/Area Number |
62450064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 英男 東京大学, 文学部, 助教授 (70114436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大芝 芳弘 東京大学, 文学部, 助手 (70185247)
平田 眞 上野学園短期大学, 講師 (80134419)
久保 正彰 東京大学, 文学部, 教授 (90012286)
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Keywords | 写本 / 伝承 / 本文 / 校訂 / 異読 / パピルス / 断片 |
Research Abstract |
1.研究実施計画に基づいて、まず原資料の特定と収集の作業状況への反省と再検討を行い、パピルス文書資料の重視ならびに古写本伝承史全般と個別の研究課題との関連に留意すべきことを再確認し、それに応じて資料の収集方法に若干の修正を施した。2.この新たな方針に基づいて引き続き原資料ならびに関連する二次的文献の特定と収集を行なった。またこれに伴って国内の他の研究期間における資料と関連文献の保有状況を調査として、改めて京都大学における当該調査を実施した。資料・文献の収集については、その一部は予算及び出版事情等により所期の成果に至らぬものもあったが、全般的には本研究遂行上重大な障害とはならなかった。3.次いで大学院生等の協力をも得て資料の分類整理と内容の予備的記述を行い、詳細なカード目録を整備した。4.以上の作業の成果をもとに、本年度は特に次の4点に重点を置いて研究を進めた。(1)前年度に引き続いてアイスキュロスの作品断片の伝承ならびに本文校訂に関して、古代作家による引用とパピルス断片の両者を含めた総合的検討を行なう。(2)それと並行してエウリーピデースの作品断片に関してもアイスキュロスと同様の検討を行い、これによって古代悲劇作品の伝承の実情に関する視野の拡大を図った。(3)スゴリアを含むアポロニオス・ロディオスの有力写本Pを取り上げ、これを近現代の校訂本を比較対照することにより、ビザンチン中世の小文字写本における異読の意義とその修訂の根拠を考察する。(4)紀元前1世紀のローマ詩人コルネーリウス・ガルルスの新発見のパピルス資料に関して、作者と同時代と推定される古代大文字写本の実例として、その古文書学的検討を含めた総合的考察を行なう。5.以上の作業を各研究分担者ごとに相互の調整を取りつつ進め、研究の最終段階においては特に会合を開いて各々の進捗状況と成果を報告し、また年度に向けての今後の方針を検討した。
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