Research Abstract |
本年度は,初年度として,次のような作業を行った. 1.国際倒産法関係文献目録の作成. 日本におけるこの分野の研究が立ち遅れている現状に鑑み,内外の文献を整理し文献目録を作成しておくことは研究の第一着手として必須の作業と考え,目録を作成し,さらに現在補充中である. この作業を通じて,問題点の分類体系化が次のように可能であることが,新たな知見として得られた. すなわち,(1)国際倒産管轄,(2)内国倒産の対外的効力,(3)外国倒産の対内的効力,(4)倒産司法共助(並行倒産を含む),(5)倒産手続における外国人の地位,(6)倒産準拠法,がこれである. 2.研究会の組織・開催. 研究代表者,分担者を含む十数名からなる研究会を組織し,昭和63年2月末日現在,すでに10回の定例研究会を開催し,国際倒産に関する理論の深化をはかった. とくに,西ドイツ,アメリカ,イギリス,フランスにおける研究や立法・判例の動向については,多くの新しい知見が得られた. いくつかの倒産条約(案)についても研究を進めつつある. 3.実態調査による問題点の収集・整理. 日本におけるいくつかの渉外倒産事件を取り上げ,そこでの問題点を収集し,減論しつつある. これらの問題点は,いずれ日本でも国際倒産に関して何らかの立法を行う時期がくれば,貴重な素材となるものである. 来年度も,同種に定例研究会を続行し,これを軸として研究を集大成する予定である.
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