1989 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の近代住居における領域区分の枠組みに関する住文化論的研究
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62450079
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
竹下 輝和 九州大学, 工学部, 助教授 (30112303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益田 信也 九州大学, 工学部, 助手 (60190360)
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Keywords | 近代住居 / 領域区分の枠組み / 人間関係 / 住文化論 / 子ども中心主義 / 行動様式 |
Research Abstract |
本研究は、わが国の近代住居における領域区分の枠組みを家族の人間関係の秩序性に注目して住文化論的視点より考察することを目的としている。本年度は、2ケ年にわたって行った詳細な調査デ-タ-を総合的に検討し、以下のような知見を得た。また、最終年度としてのまとめを行った。 (1)家族全成員を対象にして行った一日断面生活時間住生活行動の詳細な調査デ-タ-を下に、居間空間における家族成員主体間の調整機能行動を考察した結果、成員相互で行動遂行上対立する調整は子どもが自室へ行動場所を変換することでなされていること、また、対立のない我が国特有のだんらん行動は現在においても温存されていることが明らかになった。 (2)居間空間を撮影した連続5日間のVTR資料を下に、起居様式を姿勢形態より分析した。この結果、居間空間における座具の有無に拘らず、姿勢形態別時間量ではあまり差がないこと、このことはイス座式空間様式がとられている居間においても実際には床座式が支配的であることを意味していること、また、家族の人間関係を反映して居間空間における対人の差で姿勢形態が異なることが明らかになった。 (3)同じくVTR資料を下に、居間空間を任意にメッシュ分割して場の単位を設定し詳細な行動分析を行った結果、家族成員相互に独自の居場所がつくられ、家族の人間関係を反映して成員相互の領域構成が形成されていることが明らかになった。 以上の本年度の分析結果を踏え、本研究の総合的なまとめを行い、家族成員の人間関係の秩序性が住生活行動様式に反映し、その調整機能の場所的性格として居間空間・住居空間の領域の枠組みがつくられていることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 竹下輝和,益田信也,前田隆: "映像場面の分析によるだんらん様式に関する考察その4、だんらんの行動類型" 日本建築学会大会学術講演梗概集(建築計画・農村計画). E. 91-92 (1989)
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[Publications] 竹下輝和,益田信也,前田隆: "映像場面の分析によるだんらん様式に関する考察その5、くつろぎ行動" 日本建築学会大会学術講演梗概集(建築計画・農村計画). E. 93-94 (1989)
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[Publications] 竹下輝和,益田信也,前田隆: "映像場面の分析によるだんらん様式に関する考察その6、コミュニケ-ション行動" 日本建築学会大会学術講演梗概集(建築計画・農村計画). E. 95-96 (1989)
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[Publications] 竹下輝和,益田信也,石田聖一: "居間に関する住文化論的考察その7、家族成員の調整行動" 日本建築学会 中国・九州支部研究報告(計画系). 第8号・3. 1-4 (1990)
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[Publications] 竹下輝和,益田信也,石田聖一,志賀勉: "居間に関する住文化論的考察その8、姿勢と起居様式" 日本建築学会 中国・九州支部研究報告(計画系). 第8号・3. 5-8 (1990)
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[Publications] 竹下輝和,益田信也,石田聖一: "居間に関する住文化論的考察その9、家族成員の領域形成" 日本建築学会 中国・九州支部研究報告(計画系). 第8号・3. 9-12 (1990)