Research Abstract |
目的:食の価値観の堕落に伴う摂食の態度ならびに姿勢の荒廃などについて, これを「食の乱れ現象」と呼び, そのために起こると思惟される健康上の問題, 特に愁訴等との関連について明らかにすることを目的とする. 方法:対象地域は関東から九州までとし, 対象は小学生から大学生に至る約3500名である. 調査票は本研究のために, 主として摂食行動と愁訴の関連性を捉える独自のものを考案し, 予備的調査を繰返し, その妥当性について十分に検討を加えた. これにより, 学級担任, 授業担当者に調査の主旨を説明, 理解を促し, 調査の正確性に留意した. 成績:中学生における愁訴率をみるに, 男子については「あくびをする, 偏食をする, だるい」の順で3大愁訴となり, 女子において最も高いのは「だるい」であり, これについで偏食, あくび, 腹痛, 頭痛, いらいらする, かぜをひきやすいなどとなっている. これらは概ね30%をそれぞれ超えており高い愁訴率といえる. 大学生についての愁訴率をみると, (1)肩や頚がこる(2)眠気がする(3)目が疲れる(4)疲れやすい(5)腰痛(6)いらいらするなどが約42%を超えており, 相当に高い愁訴率を示した. 次に摂食行動, 生活条件と愁訴との関連をみると「夜更しと朝食抜き, 朝食抜きと腹痛, 夜食と頭痛, 夜更しと目の疲れ, テレビのみすぎと腹痛」などで高い相関関係が伺えた. また, 愁訴を現象から捉えて類型化を試みたところアレルギー性と思われる愁訴が集約される傾向がみられた. さらに, 食品の嫌い度から野菜の分類をすると"強いかおり", "繊維性"などが食品を嫌う要因としてみられた. 以上, 今年度は調査を主体として研究を実施し, 解析は基礎的な整理に留めたが, 今後, これらの関連性を総合的に検討する. 多変量解析等の方法の援用も考えている.
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